Adachi

海底47m 古代マヤの死の迷宮のAdachiのレビュー・感想・評価

4.0
身構える必要はなく何も考えなくても楽しめる一方で、見事に重層的な構造を繋ぎ合わせており、サメ映画の中でも突出して良い映画だと思う。

まさかの水中で流れている曲(その選曲)、アラートという音の演出、その赤い光の演出、照らし出される洞窟内の人型、まるで木の葉の様なサメから逃げる時にフィンのない素足の弱々しさなど、全編映像的な見所と面白味に溢れており、印象的な演出で驚かさせられた前作から、ジャンル映画の枠の中で、とても良質な完成度を保っていながら、加えて一人の少女の成長を描く物語としてもシンプルに素敵だと思う。

映画のファーストショットから、全くもって相応しくない格好の人間が水中でもがく姿に意表を突かれる。
終わってみればこれは「自分の意思」ではなく突き落とされた者が自分の意思で飛び込むまでの物語だった。

学校というのは言わば結界が張られている様な閉じられたコミニュティなわけですが、その中で虐げる者/虐げられる者、それぞれがそれぞれの集団を形成するものであり、そのスクールカーストの最下層に分類されている者が真の意味で「自分の意思」で飛び込んむことにより得る希望的到達点を目の当たりにした瞬間の関係性の反転がめちゃくちゃエモい。

こんなにカタルシスというものを感じさせてくれる映画久しぶりに観た様な気がします。
Adachi

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