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クリミナル・タウンのkuuのレビュー・感想・評価

クリミナル・タウン(2017年製作の映画)
3.0
『クリミナル・タウン』
原題 November Criminals  映倫区分 G
製作年 2017年。上映時間 86分。
劇場公開日 2018年8月25日
アンセル・エルゴートとクロエ・グレース・モレッツの共演で、親友が殺された事件の真相解明に挑む高校生の姿を描いたクライムサスペンス。
ティーンエイジャーを主役に描いたノワール小説として高い評価を受けたサム・マンソンの小説を原作に、サーシャ・ガバシ監督がメガホンをとった。

ワシントンD.C.に暮らす冴えない男子高校生アディソンは、親友のケヴィンが銃殺されたという知らせを受けるが、不良の黒人少年が麻薬をめぐるギャング同士の抗争に巻き込まれただけと、事件の捜査は早々に打ち切られてしまう。
優等生のケヴィンが麻薬にかかわっていたはずがないと考えるアディソンは、幼なじみのフィービーとともに、ケヴィンの名誉回復のためにも真相を解明しようと独自に調査を開始するのだが……。

あちらは全く知らないが、こちらは、どうも可愛い姪っ子の成長を見るようにクロエ・グレース・モレッツ作品を観てしまう。
今作品でのクロエは大人の生活を始めようとしている賢くて魅力的な高校生を演じます。
また、お相手が、これまた甥っ子のように見てしまう『ベイビー・ドライバー』ベイビー / マイルズでお馴染みのアンセル・エルゴート。
たとえ今作品での彼は猛者苦しくても、ベイビーなら致し方ないなんて、なんちゃって叔父さん風吹かしてワケわからん贔屓目で鑑賞。
良く考えたらホラーリメイク版『キャリー』(2013)でも二人は共演してるが、その時は何ら叔父さん風は吹かなかったが。。。
今作品の原題『November Criminals』は、サム・マンソンの本を原作にしてるが、また、このタイトルは、第一次世界大戦を終結させた休戦協定に調印した1918年のドイツ政府のことも指す。
1918年11月にドイツで起こった革命や、革命後実権を握ったヴァイマル共和国派を『11月の犯罪者』と呼んで罵倒したのは、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)やアドルフ・ヒトラー。
意味は、『背後からの一突き』、あるいは直訳して『匕首伝説』とも呼ばれ神話を支持する人たちの呼び名です(それによれば、ドイツのエリートたちは降伏することによって自国民を『刺した』。
なんか巧い例えやなぁとは思った反面、贔屓目に観ても、今作品には緊迫感が欠けているばかりか、デヴィッド・ストラサーンや特にキャサリン・キーナーが物語の雑踏の傍らに取り残されているのは残念でならない。
また、アンセル・エルゴートとクロエ・グレース・モレッツは紙上ではうまくいきそうなカップルやけど、脚本は2人の魅力を際立たせるどころか、憎めない役者にしているだけやった。
特にエルゴートにはその傾向が顕著で、彼の人格はしばしば不快に見えなくない、いや、『ベイビー・ドライバー』を観てなかったら不快やったかも。
その『ベイビー・ドライバー』やと、エルゴートの最高の魅力をスマートに見せてくれたけど、今作品では、独りよがりで、ひねくれた、結局は我慢ならない知ったかぶりをしているようにしか見えない。
気持ちはわからないでもないが。
また、小説では重要な要素であったユダヤ人であることについては、まったく触れられていない。今作品がフィービーをキープ的なキャラで終わらせたくないのと同様に、モレッツがこのキャラをその一例にしないよう努力しているにもかかわらず、フィービーは『ガールフレンド』以上の存在ではない。
フィービーは映画の序盤で、アディソンに処女を奪われるつもりであることを明かし、信じられないほどぎこちないセックスシーンにつながる。 エルゴートとモレッツはカップルとしてそこそこ説得力があるが、2人のケミストリーはエネルギーに欠けてたのは否めない。
デヴィッド・ストラサーンとキャサリン・キーナーは、頼れる俳優として登場して、それぞれの仕事をこなすが、それほどインパクトはない。
キーナーの役柄は政府で働いているようだが、プロットにはほとんど登場しなかった。
コーリー・ハードリクトが演じる麻薬ディーラーのD・キャッシュはスヌープ・ドッグを参考にしてるらしいが、将に漫画レベルに過ぎず、個性も威圧感も足りない。
今作品は、若い恋のめまぐるしさとミステリー・スリラーの激しさのバランスが取れておらず、巧みにエキサイティングさせる代わりに、平坦で退屈な映画になっていた。
奇妙なことに、主役たちの最も愛すべき特徴が前面に押し出され、これといった利害関係もない。
でもまぁ、叔父っちゃん目線なら、また、サブスクで観る映画としては、それほどヒドイ作品ではなかったかな。
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