大根で知られたビング・クロスビーの名演技を引き出した作品...らしいのだが、やっぱり下手に見える。ただクロスビー演じるオマリー神父の態度があまりに堂々としているのでみていてそれほど変な印象にならないのは流石エンターテイナーと言うべきか。
オマリー神父がNYの古ぼけた教会にやってきて、貧しさや戦争の影響からか人心荒廃した街の人々を持ち前の人柄と歌の力で変えて行くストーリー......とは言うものの、よくみると近所の意地の悪い偏屈婆さんは偏屈婆さんのままだし、悪ガキは悪ガキのまま反省してないし特に何も変わっていない......彼らが変わらないのもゴーイングマイウェイなの?
また、家出娘と債権者の息子のやりとりも一見良い話で終わっているが、オマリー神父が投げかけた疑問は結局あやふやにされているし、中途半端で納得のいく話ではとてもなかった。正直街の人々とのヒューマンドラマ部分は粗が多くて賞賛できるようなものでは無い。
クロスビーの歌とバリー・フィッツジェラルドの演技は素晴らしい。
頑固で保守的だが善良な老神父の姿はオマリー神父でなくとも「なんとか助けてあげたい」と思わせる。
身辺に起こる変事に一喜一憂するバリー神父の姿はとても可愛らしいし、また涙を誘う。ラストシーンはとりわけ素晴らしい。台詞なしで敢えて表情を見せない所がまた良い。