HK

セルのHKのレビュー・感想・評価

セル(2015年製作の映画)
3.0
原作・脚本スティーブン・キング、主演ジョン・キューザック(兼製作総指揮)、サミュエル・L・ジャクソンなのに今まで存在もタイトルも全く知らなかった作品。
Filmaでの評価はあてにならないにしても、この知名度ではヒット作とも思えず、邦題も原題のまま工夫もなく、拾いモノの確率も低いと踏みつつ、気になる事があり鑑賞。

冒頭、主人公(キューザック)が降り立った空港で、突如として携帯電話を使用中の人たち(旅行客ほぼ全員?)が次々に狂暴化して人を襲い出し大パニックに。
携帯電話から発信されるパルスにより人々が狂暴化?・・・なんか聞いた事あるぞ。

息子が子供の頃に見たTV特撮『ウルトラマンマックス』の実相寺昭雄監督回「狙われない街」(2005年)とプロットが似ており、同作品では携帯が宇宙人の地球侵略アイテム。
「狙われない~」は同じくTV『ウルトラセブン』の実相寺回で名作の誉高い「狙われた街」(1968)の約40年越しの続編であり、こちらの侵略アイテムはタバコでした。
当時、喫煙人口の減少と反比例して増加し続ける携帯利用者に侵略兵器をシフトした設定に感心した記憶があります。作品自体(「狙われない~」の方)はあまり面白くなかったですが。

話を映画に戻すと、キングが執筆したのは2006年で映画化は2016年。
キングが『ウルトラマンマックス』の放送を見て翌年執筆したとは思いませんが、アメリカが金かけて作ったら凄い話になるかもと期待したら、原作は知りませんが映画ではせっかくのアイデアがほとんど活かされておらず、よくあるゾンビ映画の1本のようになってしまって誠に残念。

発症者(?)は動きの速い今どきのゾンビと変わらないし、仲間同士は群れをなして徘徊するのもゾンビだし、サバイバルもまるで『ウォーキング・デッド』。
テレパシーで情報共有し、口からパルス音を発っして交信するところは『SF/ボディ・スナッチャー』や『光る眼』など、とにかく既視感だらけで新鮮味はなし。

それにキング本人の脚本(共同ですが)も意味不明で難がありすぎ。
コミック作家である主人公が描いた赤いフードの男がみんなの夢に現れたり、ラスト付近の展開などは何が何やらわからず、全てを主人公の妄想で済ますつもりでしょうか。

せっかく、携帯電話(セル)を媒介とした何者かによる壮大な地球侵略を描く新境地となる可能性もあったのに、もったいない話。
出演は他にイザベル“エスター”ファーマン、今や貫禄のステイシー・キーチなど。
HK

HK