カエル王ちゃん

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破のカエル王ちゃんのレビュー・感想・評価

5.0
基本的にはかつての流れを踏襲する序に対して、待望のアスカの登場など予期されたものはあるものの、新キャラであるマリが現れ、新たな使徒やデザインの変更があり、ストーリーの展開的にも独自の流れを作るのが本作でした。ゆえにまさに「新劇場版」という印象が強いものです。使徒との4度の戦闘シーンだけでなく、アスカを加えたシンジ等登場人物たちのほのぼのとした日常シーン、さらにシンジとゲンドウの距離感や綾波の心の変化など、本当に見どころの多い作品だと思います。

しかし、第9の使徒との戦闘が前半のひと時の平和を覆します。シンジが下校途中の買い食いに付き合い、トウジがアイスのくじでハズレを引き、それが第9の使徒に乗って犠牲になる人物がトウジからアスカになることを示唆し、メインストーリーを大きく動かしていきます。

そしてラストの第10の使徒の戦闘に至り、一時はネルフを去ったシンジが自ら「初号機パイロット、碇シンジです」と号し、今まで他人の思惑でエヴァに乗らされていたシンジが自分の意志でエヴァに乗るという変化を見せます。

使徒に取り込まれた綾波を救うべく、自らの意志で乗り込んだエヴァで自らの願いを叶えるため、シンジは戦いますが、それがサード・インパクトになってしまうという、サード・インパクトに至る方法としては初耳な方法により破の結末に至ります。「行きなさい」とシンジを後押ししたミサトも、これがニアサーになるとは思ってなかったでしょうね。シンジからすれば、「そんなん聞いてない」て感じの後のニアサーですが、兎も角、ヒーローになったはずのシンジが以後は諸悪の根源みたいに扱われることになってしまい、個人的にはシンジ気の毒やなという感じです。

しかしながら、新劇場版4部作を俯瞰した時、一番面白いのはどれかとなれば、破を推したいと思います。