カエル王ちゃん

ブラック・クランズマンのカエル王ちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

電話と潜入、二重の捜査を通して、外からは窺い知れない「団体」のヤバさを詳細に描き出すというドキュメンタリーの側面もあったが、同時にコメディの側面もありましたね。本物のロンとデュークとの電話がそれで、最後には痛快なオチがありました。シリアスさと笑い、そこにも二重構造があった。
偽物ロンの潜入は、常にフェリックスの脅威に晒されるもので、物語の緊張感はフェリックスが出てくるたび高まった。しかし基本的には非暴力という団体の路線に反するフェリックスの過激な行動のおかげで、エンディングの勧善懲悪が成り立った。ただし、勧善懲悪という理想で終わらず最後に団体の恐怖と現実を突きつけるあたりが、スパイクリーのメッセージが込められた所だったかと思います。現実に基づいてエンターテイメントを作り、エンターテイメントの先には依然問題を抱えた現実があることを意識させる終わり方。
作中アメリカファーストなどの現大統領が言いそうなキーワードがいくつかあり現実が織り込まれていた。また差別については、声高に叫ぶより別の問題に紛れさせて差別を行うという現代的レイシズムについての示唆もあり、現代の現実を1970年代の世界を通して見る感覚があった。
山場である団体の入会式と黒人差別の証言集会。入会式で語られていることは陰謀論であり妄想、かたや凄惨な黒人殺害の証言という現実の対比が面白かった。しかし両者が対照的であることを示しながらも、ロンを通して黒人も白人や警官を蔑んでいるという問題提起もあった。