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山河ノスタルジアのRのレビュー・感想・評価

山河ノスタルジア(2015年製作の映画)
4.7
や、やばい、、、めっちゃじわじわくる。何だこれは。ダメだ、悲しい。悲しすぎる。こんな人生、生きたくない。中国の3つの時代をまたぐオフビートな愛と悲しみのドラマ。1999年と2014年は中国の田舎町山西省汾陽を舞台に、2025年はオーストラリアを舞台に、淡々とちょっと変わったお話が進行していく。最初は、これ面白くなるん? 大丈夫? って思った。まず、オープニングクレジットで、ボクが心から愛するPet Shop Boysの最高のチューン、Go Westがかかり、ディスコ?で主人公たちが大勢で踊ってるシーンから始まり、え?予想外のノリノリの映画? と思ったら、ナルホド、1999年の春節祭、そして近づく世紀末で町全体が浮かれてる。そんな中、タオという女と、彼女に惚れる二人の男、炭鉱夫のリャンズー、実業家を目指すジンシェイとの三角関係が描かれる。おそらく3人ともそこそこの若者という設定なのでしょうが、どう見ても30後半〜40前半くらいにしか見えないので、ちょっとおかしいんやけど、気にせず見てると慣れて………きません、まぁそれはいいや。で、一体タオはどっちを選ぶか、生真面目で誠実なリャンズーか、アグレッシブでちゃら目のジンシェイか? という恋愛話。けど、タオが女にしてはふたりの気持ちに鈍感すぎて、こんな女おるわけねぇ! 監督の可愛い女像ちょっとキモくない⁈って思いながら見てますと、タオもだんだん心定まってきて、45分くらいかな?経ったときにオープニングクレジットが始まる。おお、ここまでの話は前提だったのか。で、スタンダードサイズだった画面がビスタに変わって、2014年にFF。タオの最愛のお父さんが突然亡くなり、離婚した夫(どっちを選んだかはネタバレになるので秘密)と暮らしてる息子を呼び寄せて、ふたりで数日過ごす様子が描かれる。そして、その次が、2025年オーストラリア。こちらはスコープサイズで、成長して大学に通うタオの息子と初老の中国語の女教師との交流が、2014年の母子のリフレインのように描かれていく。エピソードが進むにつれて、最初に重要だった人物がどんどん消えて、中心が移りゆくので、3話のオムニバスっぽく見える。テーマ的には、それぞれにそれぞれの愛のストーリーを紡ぎながら、中国の経済成長とともに広がる格差、移りゆく時代、消えゆく伝統文化、といった社会的な背景をにじませる。いやー、しかし、このなかなかにフレッシュな驚きに満ち満ちた展開を見せるたいへん興味深い第3話目に、いったいどう落とし前をつけて終わるというのだろうと思ってたら、最後の最後で、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! 全てを貫きました。切なすぎる。悲し過ぎる。変わってく中 変わらないものもあるから 常に 胸に 君に 夢に、って、ある歌の歌詞が脳裏をかすめたが、いや、ほんと、人間て、どうあがこうが絶対に老いと死からは逃れられない。老いとともに失われる形あるもの、けれども心をはなれない形なきもの……最後あまりのパンチの強さに、それまでのちょいちょいおかしな点、ジンシェイの老けメイクがお粗末だったり、若干演技がビミョーだったり、2話目の息子の気持ちがちょい謎だったり、などなどが、一瞬にして吹き飛んで、心が一気に呑み込まれた!!! 見事な見事なエンディング! しかし! ボクは! 絶対に! 何があっても、愛する人たちに会いに行くから! みんな待っててね!!! ゴーウェースト!!! ゴーウェースト!!! ジャジャンクー監督の映画、既に見てるやつも見直していかなあかんと感じたし、コンビニに置いてあるある種のエロ本に切なさを感じるようになりました。かなり変な映画やけどけっこうオススメかもしれない!
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