No.1120[猛毒なのに切れ味は悪い]　60点

自爆テロを企てる青年たちを追った猛毒ブラックコメディ。ブラックコメディ大好きだけど、このレベルの猛毒を映画に出来るのは単純に凄い。リズ・アーメッドの出世作でもあり、売れてない頃のドクター・ストレンジも出ている。まだスウィントンに会う前なんだろう。

本作品でのブラックな笑いは泥臭さにあり、馬鹿なテロリストたちが泥沼の中でのたうち回っている様を笑う構図になっている。映画が示したかったのは、この手の危険な人間の中にも、こんな適当で阿呆な人間がいるんだということだ。しかし、表現として切れ味が悪いので"いい映画を観た"という感じがしない。不必要にワチャワチャしていて、テンポが異常に悪かったのは意図したものなんだろうけど、あんまり魅力的ではなかったね。残念。『最終突撃取材計画！』の2分間のビデオに負けた。

• #1001の映画ofOdessa
• #2019ofOdessa

イギリスに滞在しているムスリムの青年たちが、互いに反目し合いながら爆破テロの準備を進めていく。テロリストの言動を「滑稽なもの」として捉えている、ブラック・コメディ。

成功と失敗、その両方とも「神の思し召し」で済ましてしまう人間たちのジタバタ劇。聖戦の理念をマトモに考究することもなく、とにかく「テロを遂行させなければならない」という気持ちだけで突っ走る。

屋外に漏れまくりの談合、頭を左右に振ってカメラ対策、カラス爆弾でカミカゼ特攻、着ぐるみの中に爆弾を仕込んでマラソン大会に参加。これらテロリストの奇行を、コメディ演技ではなく、徹底したシリアス演技で描いていく。

「傍から見ると変人なのだけど、当人は真面目にやっている」という構図が風刺コメディを引き立たせている。主人公がテロ行為に疑問を持ち始めてからの、シニカルな畳み掛けが見応えあり。

【ドクター・ストレンジが警察官だった頃】
｢死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のリズ・アーメッドとドクター・ストレンジになる前のベネディクト・カンバーバッチが出演している日本未公開ダークコメディ。テロリストのグダグダした作戦を描いているのだが、ギャグが寒すぎて風邪ひくレベルであった。

• #死ぬまでに観たい映画1001本