磔刑

ヴァレリアン 千の惑星の救世主の磔刑のレビュー・感想・評価

3.1
「イチャイチャが宇宙を救う」

極彩色のスペースオペラの中、美男美女が颯爽と活躍し、時にはイチャつく。そんな姿を魅力的に描けてるだけでも作品としては成功してると思う。実際、2人の活躍やらイチャイチャを見てるだけでもなんだか楽しい気持ちにさせられる。

そんな頭スッカラカンで観る事が大前提であるスペースオペラの本質をスタンダードに体現した内容なのだが、意外にもしっかりしたテーマを下地に置いている。
スペースオペラにありがちな超宇宙規模の話にも関わらず、主人公が必ず白人という製作上の如何ともし難い問題を白人の侵略の歴史と重ねる事でよりキャストの魅力を掘り下げ、ストーリーの奥行きを出す事に繋がっている。

だがちょいと尺が長過ぎるし、随分不必要なシーンも多いので観ていてたまに意識が飛ぶ。特にリアーナのくだりなんかは、ただ単にリアーナ出したかっただけでは?って感じがする。
物語の謎も出だしとラストだけで、その間は本筋と関係ないドタバタ劇の繰り返しで、テーマやストーリーを軸に観てると辛いものがある。もう一つ、作品の核である2人の愛が本物になっていく過程を順序だてて魅せれなかったのもドタバタ劇がドタバタにしか見えない要因だ。

スペースオペラに小難しい話を求めるのがそもそもの間違いなのはスターウォーズの新章が体を張って説明してくれており、頭空っぽにして宇宙を漂う感覚で見る事の重要性を教えてくれる作品だ。個人的には主演2人のの美貌に浸ってるだけで満足なのだが、中盤以降の衣装がダサかったのは残念である。序盤の軽装となんちゃってボニー&クライド感が特に良かった。
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