とりん

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)のとりんのレビュー・感想・評価

3.6
2021年12本目

猿と人間の戦争が始まって2年、シーザーたちは森にひっそりと隠れながら、向かってくる人間たちを退けていた。決して無差別に殺すではなく。
そんなある日非常な軍の大佐が攻め入り、シーザーの妻子が殺されてしまう。シーザーは数人の仲間たちと復讐のために立ち向かうのだった。

前半は戦争もの、中盤は復讐が名目だが冒険もの、後半は脱出ものと上手くいろんな要素が盛り込まれていて良かった。
特に冒険部分はファンタジー感もあって、個人的にはすごくそそられた。
シーザーはコバがなぜあそこまで人間を憎むのかが理解できなかったが、自分の妻子が殺されたことによってその部分に気づいていく。
コバがこれでもかってくらい邪悪に染めにくるのがなんともだけど、嫌なくらいに印象づけてくれる。
今作が旧シリーズにつながるともされているけれど、正直微妙なところ。
人間たちが喋れなくなった退化の原因が明かされるのだけれど、結局原因不明の感染症。神が人間に下した罰とも言われていたけど、それで片付けられてもな。
ただ大佐が言っていた猿は人間より強く、自分たちで感染者を排除しないと、ここは猿の惑星になってしまうというのが真実すぎた。原因は理解できないけど、この言葉は納得。
その大佐がまさかのウッディ・ハレルソンとは。良い役どころ、こんな役ハマり役でしかないわ、大好きすぎる。

喋れなくなる感染症は感染者が触ったものからも感染るとはかなりの感染力だな。なんかこの部分が曖昧すぎるけれど。
前作もそうだが微妙なとこで旧シリーズとのオマージュが出てくる。
復讐のためなら殺しても良いのかという問いかけをこの作品でも語られてるようだった。
旧シリーズでは"猿は猿を殺さない"という掟についてだったが、今作はシーザーたち猿は人間たちを無意味に殺さないところから来ている。
猿を奴隷として扱うところもオマージュ感あるけれど、それに立ち向かう感じはなく、旧シリーズのようなメッセージは感じられない。
あくまで今シリーズは猿のヒストリアのように感じる。ずっと猿視点。
知識を得て、人間と共存を望もうとするけれど、それも上手くいかず、自分たちは自分たちで生きていくと決心するまでの流れのような気がする。
人間は哀れで勝手に絶滅していっているようにしか見えない、そこに猿が手を差し伸べようとするも、結局は人間の傲慢さが身を滅ぼしたかのように思える。
シリーズ通しても旧シリーズとはテイストがかなり違うが、今シリーズは今シリーズで十分すぎるくらい楽しめたSFスペクタクルだった。
とりん

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