きよぼん

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)のきよぼんのレビュー・感想・評価

4.0
原題が「WAR FOR THE PANET OF THE APES」で、邦題が「猿の惑星:聖戦記」。このタイトルがちょっとしたミスリードになってるように感じました。

猿の退治に力をいれる人間側の軍の司令官、「大佐」に襲撃をうけたシーザーたちの群れ。群れのリーダーであるシーザーは復讐を胸に抱き、大佐を追いかけることになります。

この序盤の展開と、「WAR」「聖戦」などという言葉がならぶタイトルから、人間と猿の雌雄を決する大バトルがあると思ってみてると、「肩すかし」をくらうことになるでしょう。

いえ、もちろん人間と猿の戦いはあります。クライマックスの迫力も観ている人を裏切りません。しかし大決戦の末に生き残ったほうが天下を獲るという単純なものでもありません。

この映画は主人公シーザーの復讐を軸に進みます。しかしよく眼をこらしてみると、彼は観客が知りたい「人と猿ってどうなるの?!」という流れからは、少し離れたところにいることに気がつきます。実はこのシリーズってシーザーが主人公ですが、彼以外のところで起こってることがとても重要なように見えます。全体の流れを俯瞰してみると、シーザーという存在は、人間の運命の傍観者に過ぎなかったのではないでしょうか。

戦いとは一体何か。何と何が戦い、誰と誰が争うのか。本当に人間と猿は敵同士なのか。映画館ではシーザーの復讐劇として楽しんで、そしてその後はコーヒーでも飲みながら映画の中のシーンの意味をじっくり考えてみたい秀作です。

※「猿の惑星」は旧作シリーズの大ファンで、今回完結した新シリーズも好き。公開直後ということでネタバレに気を使いながら書いたので、
新旧比較はもう少し落ち着いてからブログのほうにでも書いてみたいです(´・ω・`)
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