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ちはやふる 上の句のkoyamaxのレビュー・感想・評価

ちはやふる 上の句(2016年製作の映画)
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瑞々Ⅽ100%映画。

広瀬すず主演のアイドル映画的側面。
競技かるたというニッチな競技世界を知ることができる入門見学的な側面。
そしてエモーショナルな青春群像劇の側面。

3つの要素を瑞々しい鮮度を保ったまま成立させた作品でした。原作未読。アニメは少し見ました。

主人公のまわりを巻き込むだけ巻き込む、やたら華がある女子感、やかましさと可愛さのバランスで、こういう娘いるよな。という実在感がすばらしく、また、こうしたヒロインにありがちな一人テンション高いイタイ感じに孤立させていないのがよかったです(´-`)

視点は主人公ちはやから、近くにいる幼馴染男子視点へ、そして、紆余曲折経て、同じまなざしで競技かるたへ向かってゆくチームへ。と徐々に視座が展開に伴って高まってゆきます。
そう共有することで「みんなで時間をかけて一緒に上る空気感」を追体験できるという感覚があります。

競技かるたのおもしろさ、かるたに対する一途な思い、チームスポーツとしての努力やがんばることの楽しさを主役ではなく巻き込まれた仲間が実感する。
思いを抱く男子の少しひいた目線から観たかるたの世界。そこに没頭する少女の姿。
客観的な視点をもちこむことががかえって、なにも知らない我々を引き込むきっかけになっています。

ぜんぶをひっかきまわすような100%のかるた女主観ではない様々な視点があるこの流れが「ヒロイン映画でもあり、恋愛映画でもあり、スポーツ青春映画。」
として、それぞれの強みを持って補完しあいながらレベルを持ち上げているという感じです。

その流れからの、
広瀬すず。
顔面アップの必殺力。決定力。最後に点を取るストライカーとしての役割を完全に果たしてました笑

男女区別なく真剣勝負で戦えるというのも競技としてあまりなかったので、今思うと新鮮だったかもしれません。

話としては原作のよるところが大きいのだと思いますが、主役からわき役まで含め、それぞれ役割を分かっている感じでした。広瀬すずもそうですが、そのほかのメンバーの醸し出す雰囲気と途中の自然な感じの表情が良かったです。Perfumeの「FLASH」に伴ってエンドロールが流れているころには、その全員のアンサンブルが、全く自分には関係ないのにうらやましいとすらおもいました笑

恋もかるたも本当に戦いあうべきカードはまだ描かれない。という焦らしもあり。

下の句に続くそうです。
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