たけちゃん

この世界の片隅にのたけちゃんのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0
あんがとなぁ、うらのすず。


脚本、監督 片渕須直 2016年製作
原作 こうの史代 音楽 コトリンゴ
声優 のん(能年玲奈)


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
今日は8月6日でした。
朝から平和記念式典が行われていましたね。
去年はちょっと変化球で「GODZILLA」をレビューしたんですが、今年は「名作映画で振り返る第二次世界大戦」も行っていますから、きちんと向き合うことにしました。
選んだのは「この世界の片隅に」です。
実は、再レビューになります。
前にコメントやいいねをくれたみなさん、申し訳ありません。

先日は地上波で放送されて、初めて観たよ~って方も、まだ観てないんだよね~って方もいるでしょうね。

でも、やっぱりみんなに観て欲しい、強制はできないけど、観るべき作品のひとつに思いました。


絵も音楽も本当に良いのね。
のんちゃんはすずちゃんそのもの。
また、音楽のコトリンゴさんがすずちゃんそのもの。
最初はのんちゃんが歌っているかと思った。
そんなことも含めて、本当に素晴らしいです。
ただ、語るよりは観て欲しい、そんな作品なので、ぜひ、探して観てください。




以下、過去レビューです。
2017年の1月7日にレビューしました。

観てきました。
11月公開時は85館だったのが、口コミで広がり200館を超えて拡大。その恩恵にあずかり地元では今日、公開です。なかなかの入りで、評判になっているのがわかります。
初公開時、すごく観たかった作品なので、こうして劇場で観られることをありがたく思います。


でも、この作品、レビュー難しいなぁ。

この世界の片隅に

この世界とは…



主人公は昭和のはじめ、広島で生まれた何の取得もない市井の人すず。声はのん(能年玲奈)ちゃんがあてています。最初、ちょっと気になって観ていましたが、最後はすずちゃん以外の何者でもなくなっていました。

広島で生まれ、呉に嫁ぎます。
呉は日本屈指の造船都市で、あの戦艦大和もここで生まれました。それ故、戦争末期には激しい空襲に晒されます。
そして、故郷の広島。
日本人の私たちなら多くを説明する必要がありません。

映画は淡々とすずの日常を描きます。
取り立てて戦闘を激しく描写もしないし、戦争を悪しく描きもしません。逆にすずの天然さが、戦時下でもこんなにのどかだったのかとさえ感じます。笑い声が漏れるほどなんです。

でも、観ている僕らの心を掴んで離さない。
不真面目には観られない。
それが日常だった時代を、その普通の生活を、さあどうぞと見せてくれる。これが当たり前だったんだよ、と。

声高に反戦を唱える訳では無い。
戦争の悲惨さをむやみに強調することもない。
そこは火垂るの墓とは違う。
でも、確実に僕の心へ訴えてくる。


すずは僕の父母とほぼ同時代に生きていました。
父は昭和九年、母は十四年の生まれです。
生きていたら、これを観て、なんて言うのかなぁ。
戦争の話はほとんどしたことがありません。
そう言えば、あと、2週間で父の命日だ。


この世界とはすずの人生でもあるし、僕の人生でもある。
昔話と他人事にしない。
自分のこととして考えてみる。
そうした時代に思いを馳せ、今生きている意味を知り、当たり前の幸せが当たり前ではないことを知る。
そんなことが静かにしみじみと伝わってくる映画でした。




以上が過去レビューでした。
感想はあまり変わっていません。
でも、結末を知っているので、途中、本当に苦しくて。
僕が生まれるわずか、二十年足らず前の話。
二十年なんて、あっという間です。
もう結婚して子供が生まれてから、有に二十年は超えています。
改めて、僕らのほんの少し前の方たちが味わった苦労と苦悩。忘れてはいけないと思いました。
みんな、それぞれに世界があります。
でも、その世界は自分だけの世界ではなく、たくさんの人の恩恵の上にある世界。だから、受けた恩恵をきちんと紡いで、次に繋げていかないと。
すずちゃん夫婦が、新たに家族を得たように。


この作品は来年もまた観なくては。
なお、この映画に30分の新作が加えられた「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が12月に公開予定です。