新潟の映画野郎らりほう

残穢 住んではいけない部屋の新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

2.3
【残念-物足りなく感じる事。希望叶わず心残りな事。】


部屋/家にこびり付いた記憶。土地/地域に纏わりつく怨恨。
露呈しているのはその一角に過ぎず、取り去り難く根深い元凶が(そうとは知らずに)間近に脈々と居座り続けている-。

識る程に拡大し 識る程に深刻化見せる展開と、歴史の闇に葬られた地域独自因習の如何わしさ等は 過不及無い。

然し、調査/取材のルポルタージュ要素に 今一つ洗練工夫が不足している為 総じて説明的に映る事と、過度に一々説明するが故に 事象の正体を識る以前に 事象から 得体の識れぬ胡乱な妖気を消失させてしまっているのは【残念】だ。

抑制した恐怖表現を志向したであろう事は解るが、ヒロイン:橋本愛の不安/焦燥が決定的且つ致命的に弱い。

「これ以上部屋にいるのが限界だ」「一刻も早く退去しなければ」といった切迫性に乏しく、事態に対し悠長暢気とすら思える。
彼女はもっと怖がった方がいい。怖がらせた方がいい。




《劇場観賞》