踊る猫

ノーザン・ソウルの踊る猫のレビュー・感想・評価

ノーザン・ソウル(2014年製作の映画)
3.5
今ひとつ(というか、今三つくらい)前のめりになって観ることができなかった。DJがフロアを焚きつけるその盛り上がりを共有するのに「ノーザン・ソウル」の音楽は渋すぎるきらいがあるからかなと思ったが、それ以上に登場人物たちのオタク的な音楽の愛情やDJとしての腕を磨く過程、彼らの普段の生活のうだつの上がらない様子といったものがもっと丁寧に描かれていればと思ってしまう(70年代半ばの経済低迷の時期の様子を説明する描写が欲しくもある)。結果としてこの映画は「ノーザン・ソウル」の音楽のカッコよさに頼りすぎており、そのソウル・ミュージックばりの一本調子な展開にやや辟易したのも確かだった。彼らがアメリカにこだわる理由や、そのこだわりが日常生活にどう現れているか(どう彼らを狂わせているか?)ももっと描かれて欲しい。つまりは細部に淫していない、悪い意味で間口が広い映画と化してしまった残念な作品だと思われる。流れるソウル・ミュージック自体は決してカッコ悪いものではないが故に余計に惜しく思った。
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