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アフガン・レポートのHKのレビュー・感想・評価

アフガン・レポート(2014年製作の映画)
2.5
ポール・カティス監督による戦争映画。2006年にアフガニスタンの戦争地帯で実際に起きた出来事を原作としている。キャストはマーク・スタンリー、マラカイ・カービー、アリ・クックなどなど

2006年9月、タリバンとの闘いが泥沼化の一途を辿るアフガンの山岳地帯で、パトロール中のイギリス人兵士が地雷を踏んで重傷を負った。そこはロシア軍が80年代にまき散らした無数の地雷が埋められた危険地帯だった。次から次へと爆破に巻き込まれ、兵士たちは追いつめられていく。

実際にあった出来事をモデルにしており、エンドロールではモデルになった人たちのその後の顛末が描かれる。まあ、アルマジロと似通ったような成分を感じ取れる。

ただ、実際にあった出来事なので批判するのは気まずいし、現実にあった出来事のドラマ成分が少ないのは否めないのだが、なんか迫力に欠けるような作品であった。

やっぱり自分は、戦争映画には実際の戦況がよくわかるようなリアリズムよりも、人がばんばん死にまくるようなゴア描写を求めているのかもしれませんね。この映画では、地雷が原因で亡くなった人間はただ一人、無論四肢が吹っ飛んでしまった人たちは何人かいますが、命に別状はなく助かっちゃてる時点でなんか平和な所に着地してしまったから釈然としないのですよね。(実際の兵士さんには申し訳ございません。)

それに、なんか劇中の緊張感というのが、そこまで感じ取れいないような気がするのですよね。どれだけリアリズム追求をしたろうが、どこかやっぱりドラマ的な演出の元に爆発が起きてしまうようなところがありましてね。意外と読めてしまうのですよ。

特に、何か問題が起きて、それが解決していったん落ち着いて気が抜けた直後、ここが一番驚かせポイントとばかりに爆弾を爆破させていましたね。ペットボトルの水を配るシークエンスで、本当はあそこは休息のポイントなのに爆発してしまうとかが、やはりドラマ仕掛けにしても安直だなと思ってしまうような所がある。

やっぱり個人的には『ブラックホークダウン』『激動の昭和史沖縄決戦』のような、銃撃戦とかでぶっぱなさたりして、死屍累々としている現状を写している作品が好きなのかもしれません。この映画のコンセプトが悪いとは思いませんが、自分の嗜好とは合わなかったのかなと結論づければ納得いきそう。

全体的にも序盤の展開も、実際の戦場の日常のリアリティを出すために、敢えてああいうのほほんとした空間を出しているのかもしれませんが、あまりにも緩慢としすぎていました。

そして、映画後半の負傷した兵士たちが互いに励ましあうシークエンスも、そういう綺麗な言葉の掛け合いが嫌いな自分としてはなんか見ていて退屈してしまいそうな空間で、もっと死んじまえなんて思っちゃったりなど。

まあ、この映画が実際にあった出来事をモデルにして作られたことを知らずに見たために、余計に映画に対するドラマ性を作品内に求めて見てしまったからというのもあるでしょう。ですからエンドロールで驚きましたよ。

ただ、一番最初の地雷が爆破するシーンはある程度驚きました。それ以外はそこまで絶望的とも思えずに、俳優さんもかなり頑張って演技していましたが、そこまで心に来るようなことはなかったかな。

でも、俳優さんも頑張って演技していたし、あの幻想的なアフガンの山岳地帯の白い空間も、絵的にはとても良かったような気がしますので、これでいいんじゃないのでしょうかね。

いずれにしても見れて良かったと思います。地雷を扱った映画と言ったら、他にも『地雷を踏んだらさようなら』とかありますが、そういうのも見てみたいですね。
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