ぎー

永い言い訳のぎーのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
3.5
【西川美和特集1作品目】
「人生は他者だ。」
レビューを書く順番的に1作品目としているが、鑑賞した順番で言えば3作品目である。
これまで見てきた『ゆれる』『ディア・ドクター』同様、西川監督の心情描写は異常なほど正確で、全てをセリフなどに頼らず絶妙な緊張感など行間で描くその術は唯一無二である。
本作に関して更に衝撃的なのは原作者も西川監督だという点。
天は彼女に何物を与えたのだろうか。
間違いなく現代の日本を代表するクリエイターである。

本木雅弘演じる主人公の姿を見ていて感じるのは、人生における愛する人の、愛してくれる人の、存在の大切さである。
本木雅弘が酒に酔った時に、子供を産むことはリスクでもあるし、時間も取られるし、お金も取られるし、と言う。
この言葉は正に逆をついている。
その通りだと思った人は、少なくともこの映画を見ている人にはいなかったに違いない。
人生の価値はもちろんそれだけでは決まらないが、大多数の人の人生において愛し愛される人が重要な要素であることは間違いない。

深津絵里は久しぶりに見たが、それほど長くない登場時間で圧倒的な存在感だった。
そしてトラック運転手の子供の演技力は尋常ではなかった。
いよいよ次は『すばらしき世界』。
楽しみだ。
ぎー

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