KouheiNakamura

ヒトラーの忘れもののKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)
4.0
今にも落ちてきそうな空の下で。


2017年、劇場での初鑑賞作品。
1945年のデンマーク。捕虜であるドイツの少年兵たちは、美しい海岸線に埋められた200万個の地雷撤去を命じられる…。

デンマーク国内でもほとんど知られていなかった実話の映画化。戦後、地雷撤去によって命を散らした少年兵たち。初めは彼らに憎悪をぶつけていたデンマーク人軍曹は、次第に少年兵たちと向き合うようになるのだが…。

地雷撤去場面の緊張感が物凄く、美しい海岸線と爆発のコントラストがより残酷さを際立たせている。少年兵たちのドラマも丁寧に描かれ、一瞬一瞬の表情にハッとさせられる。戦争が終わり、ナチスドイツへの憎悪を向けられる少年兵たち。彼らに責任がないとは言わない。しかし、報復の連鎖・憎悪にまみれたデンマーク兵士の表情は醜悪そのもの。個人では抱えきれない憎悪は、簡単に人を変える。
それでも主役のデンマーク人軍曹が変われたように、憎しみの連鎖にいつかストップをかけられる日が来る。そう信じたい。

意外なほどにあっさりと迎えるエンディング、続けて流れるテロップ。今も世界中に埋まる地雷とその被害者を思い、言葉が出なかった。戦後は、終わらないのだ。
KouheiNakamura

KouheiNakamura