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ヒトラーの忘れもののshinoのレビュー・感想・評価

ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)
4.0
"言え。「もう終わる。」「家に帰る。」"

ナチスがデンマークの海岸に埋めた約200万もの地雷撤去にあたったのは、戦後捕らわれ自国に帰れなかった若きドイツの少年兵たちだったーー

うっかり軽い気持ちで観てはいけない映画でした。なんとなくタイトルからハートウォーミングな雰囲気が感じられますが、それがまさにトラップというか、地雷です(´・ェ・`)

地雷って、カンボジアとかアジアの悲劇だと思っていたけど、戦争にはつきものな残忍な兵器というか…即死ではなく重症を負わせることでその人や国の力をじわじわ奪っていく怖さを感じました。
地雷を考えた人も、どうか深く後悔して優しい世界を願える人格であって欲しいと切に願います。

任務にあたるドイツの少年たちと、それを束ねるデンマークのカール軍曹。
最初は愛犬にしか心を開かなかった鬼軍曹も、「国家」の関わりが「個人」の関わりになると、戦争によって変えられた自分達の感覚が徐々に戻ってきて、少なからず少年たちにも愛情を覚えるもので…

決して優しくはない厳しい人だったけれど、約束と自分の信念に正直に動ける信頼に足る軍曹。
「あの人はいま」みたいな番組で、生き残った少年たちが数十年後に軍曹に再会するシーンを妄想してしまって、勝手に涙ぐむ私がいました…(´・ェ・`)

地雷を扱うシーンはホラー映画以上の緊張感でずっと耳塞いでいたけど、がんばって観てよかったと思える作品でした。
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