ーcoyolyー

マネーモンスターのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

マネーモンスター(2016年製作の映画)
4.0
ジョージ・クルーニーが経済番組版みのもんた的な司会者で、生放送中に乱入してきた「無敵の人」に銃を向けられます。そして番組ディレクターのジュリア・ロバーツと協力しながらこの難局を乗り切ろうとします。

というのを、ジョディ・フォスターが監督しています。なので役者陣の緊迫感半端ない。カメラの向こうにジョディ・フォスターがいたら下手なことできない。だってジョディ・フォスターなんだもの。ものごっつい骨太ハードボイルドマッチョみ溢れた世界観で誰が撮ったか知らないと絶対男性監督だと思われそう。その辺のジェンダーバイアスと戦ってきた人だろうし。「ハウス・オブ・カード」の監督やってるのも納得。

ただね、こういう話ってそいつ殺しても本質的な解決にならないよなっていう潰し合いに陥りがちで結局本当に狙うべき巨悪まで辿り着くことあんまりないんだけど、ジョディ・フォスターちゃんと巨悪まで繋げて断罪するんだよね。これとても彼女らしい筋の通った心意気で、とても人間性が信用できる人だなって思う。こういうところ女性らしいと思う。男はなんかすぐなあなあにしがちだけど女はそうしない途中で折れない(だから女は男社会で厄介がられる)と山尾志桜里と望月衣塑子が学芸大大泉中→学芸大附属高先輩後輩対談で語ってた、そういう「(可愛げのない)女らしさ」が出ていた。そんな声を上げる男が求める可愛げなんて犬に食わせることすら犬の健康を考えると憚られるから、私らはクソを気にせずよけて前に進めばいいだけだね。

案外とこの作品「ジョーカー」のクライマックスからラストまでの流れで参考にされていたように思えて、意外なところから引っ張ってきてんな、なんでこんな作品から?と思ったんだけど、あれだけ「タクシードライバー」リスペクトに溢れた作品がアイリス役の子役女性が長じて映画監督として撮った作品なんて絶対チェックするよな!と。そういうことか!と。

少女娼婦が這い上がって戦って自分で自分を育て直してしつけ直してこういう映画を撮るようになったと思うと背筋ゾワっとするし、クールでクレバーで感動してしまう。いとも簡単に落ちていける境遇の中、どれだけ自分で品位を保ち続け引き上げ続けてきたか、その道のりの途方もなさに涙が溢れる。私はここに連なりたいけど、誰もがそれをできるわけではない、彼女はむしろ稀有な人間なので中々真似しようと思ってもできることじゃない、それでもそういう人間がいるということは希望になる。ロールモデルとしてのジョディ・フォスターって非常に貴重な存在で、彼女の前にそういう人は誰もいなくて、よくその進む荒野を切り拓いてくれたな、と感謝しかない。

全く話は変わるんてんすけど、何年か前に「5時に夢中!」にジョディ・フォスターがプロモーションのために乱入してきたニュースがあったのを覚えていて、もしかして…?と調べたらやはりこの映画のプロモーションでした。映画内容見たらハリウッドスターが突然生放送の番組乱入の意味がよ〜くわかった…!
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