シムザスカイウォーカー

バービーのシムザスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.0
弁護士バービーが「私は感情的になっても論理的に話ができる」と言ってて雷に打たれたような気持ちだった。この言葉が1番印象に残ってる。

泣いてるわけでも喚いてるわけでもないのに意見すれば"感情的"のレッテルを貼られた。それが女を黙らせる常套句なんだと知ったのは最近。男は女の話を遮っても"感情的"とは言われない。でもさ、感情的になっても論理的に話ができるよな、私たち。そうだよ。そうなんだよ。ありがとうグレタ監督。(心の中で固い握手🤝)

バービー脚本の着想の源が「思春期の少女達の自我をいかに崩壊から救うか」(フェミニズム運動は大人の女性を力づけようとはするが、身体が成熟していないティーンを軽視している、と考えた90年代のセラピストの著書)だと知って、レディ・バードや20センチュリー・ウーマンのジュリーのことが浮かんだ。

グレタ監督はバービーを描く前から、思春期の少女たちに焦点を当てていたし、その脆さや機微を繊細に描き続けてきた。

グロリアの2分半のスピーチが男社会を生きる女性たちを鼓舞したことは言うまでもないけれど、実はこの言葉はグロリアの娘サーシャに向けた言葉だったのかもしれない。着想の源を聞いてそう思ったりした。

もがきながらも進む年上の女性たちに、後に続く少女たちは励まされるはずだし、その道を作ったのは感情を昂らせ行動してきた女性たちなのだと知れば、意見することを怖がらなくて済むんじゃないかな。いつの時代も、女性の権利を勝ち取ってきたのは黙らない女性たちなのだから。

何者でもない"ただのケン"はバービーの付属品(彼氏)になることで、自分の存在価値を見出そうとするけれど、
人間誰しもこの過ちを犯してしまうのかもね。そして定番型バービーもまた何者でもなかった。

"つるぺた"だったバービーは人間になることを望み、膣ができた。婦人科を訪れたバービーは、妊娠かもしれないし、年に一回の子宮検診かもしれないし、乳がん検診かもしれない。はたまた生理が重くてピルを処方してもらおうとしていたかも。

婦人科に行くバービーはとても高揚している様子だったことから、私も『妊娠?』と思ってしまった1人なのだけど、レビューを見ているとどうやらそうではないみたい。

婦人科に行くって本当に鬱々とする。検診は痛いし屈辱的な気持ちになるし、デリケートな問題を孕むのにデリカシーのない医者が多くて泣きながら帰ったことも一度や二度とじゃない。個人差がありすぎるので、女性同士でも分かり合えないことも多い。

グレタ監督がラストをこの描写にしたのは、少女たちが女性のからだに生まれたことを肯定的に捉えてほしかったからだと何かのインタビューに答えていた。"女性になれた喜び"を表現していたシーンだった。

私は寧ろ"ツルペタ"になりたいくらいだったのにと思い、このことを知ってから2回目を観たらなんだか泣けてきた。いつか女性の体に生まれたことを肯定的に捉えられる日が来るといいな。。

叶わなかったけれどカメオ出演する予定があった人物として、ティモシー・シャラメとシアーシャ・ローナンの2人の名前が挙がっている。ティモシーは、もし自分が『バービー』に出演していたら「フランス人のケン役役」だった予想と予想してた。笑