実在する玩具でここまで皮肉なメッセージ性を込めた映画を作れることに懐の広さを感じる。この内容にOKを出したマテル社もすごい。同時にとても優しさに包まれた作品。単にポリコレやフェミニズムといった言葉で一括りにする人はあまりに勿体無い。
バービーは恋人のケンとすべてが夢のように完璧なバービーランドで連日パーティーやドライブをして暮らしていた。しかしある日、完璧なはずの世界に異変が発生しバービーは真実を探るために人間の世界へ向かう。そこでバービーはある秘密を知ることになる。
傑作しか作れないグレタ・ガーウィグ監督。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は個人的に特に欠点が無い映画であり、いま若草物語を作り直す意義にガーウィグ監督の見解と完全に一致してました。だからバービーが単なる可愛い映画として作るわけは無いと思ってましたが…想像よりもかなり良かった。
まず子供は見ちゃダメ！『トイ・ストーリー』のバービーとケンみたいなもんやろって小さい子を連れて行ったら親御さんビックリすると思う。それだけ風刺と皮肉に溢れており下ネタもそこそこある。すごい好きなのは女児玩具を扱うのに男だらけの重役に驚くバービーにウィル・フェレルの社長が「前は女社長もいた！2人くらい！」みたいな返しするとこ。ほんとウィル・フェレルは最高やな。
あと開発者のルース・ハンドラーの詐欺ネタとかも出してきてこの映画ちょっとやべーなと思った。それだけマテルがあけすけに言うもんだから好感度が上がったわ。日本だとリカちゃんが有名なのでアメリカにおけるバービーの現状とかよく知らんかったけど、劇中のティーンみたくそこまで忌み嫌われてるの？ちょっと誇張しすぎでない？
あとやはりマンスプレイニング問題な…。特に映画好きは自分も含めてみんな心当たりがあるはず。あるよね？笑。みんなは聞かれてから答えようね！ケンが過剰なまでにマッチョな男社会に憧れてからの落差…はちょっと男としては引っかからなくもないんだけど。ケンの扱いが全体的に可哀想だから少し嫌な気持ちになった。てか役名みんなケンやんけ！笑。ライアン・ゴズリングな！
