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尚衣院 サンイウォンのNMのネタバレレビュー・内容・結末

尚衣院 サンイウォン(2014年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

身分の低い男がその知識と才能を発揮して成り上がったことで、新たな愛憎劇を呼ぶ物語。
既に君臨する王室仕立て師と、若い天才仕立て師との対決。そして王や王妃との関係性の変化。
前半のコメディチックなシーンや想像上のファンタジックなシーンなども観ていて楽しい。後半は状況が悪化していく。
韓流好きのみならず、おしゃれ系作品が好きな人にもおすすめ。
個人的には御針匠が天才仕立て師の才能に嫉妬したり憧れたりして精神を擦り減らしていく様子がおすすめポイント。


兄王の喪が明けたが、王はいつも気だるげで王位にも美しい王妃にも興味がなかった。

30年仕え続ける御針匠(オチムジャン)のドルソクは信頼が高く、庶民だがサンイウォンでのトップ職であり、半年後には両班の身分を約束されていた。

同僚の男はそんなドルソクが気に入らない。そこである人物に目をつける。
町で話題の仕立て師ゴンジンは、妓生(高級ホステス)向けの斬新な服作りで人気だった。
その妓楼の女将と懇ろで、他にも女たちに囲まれている。
男はまずは自分の服作りを頼み、宮殿でも徐々に流行らせていった。

喪明けの儀式の前日。
王妃はサンイウォンではなく自分の女官たちに祭服を手直しさせたがボヤを起こし服を燃やしてしまう。どんな罰を受けてもおかしくない。
サンイウォンに頼み込んでみたが明日までなど流石に無理。

宮仕えの同僚はゴンジンを呼び出す。王妃の美しさに見とれたゴンジンは、明日までに作ると約束しそれを果たした。
王も気に入り、狩猟服も任せることにした。

また店でトラブルを起こしていると御針匠を見かけ、チンピラたちを追い払う手伝いをしてもらった。
伝統を重んじ自分のキャリアにプライドもあるドルソクはゴンジンを見下していたが、この一件をきっかけに二人はすっかり打ち解けた。

ある日、王は軍事部総長の娘に目を留め、宮殿入りさせた。
御針匠はその娘の婚礼服を作っておけと言われるが、王と王妃の服しか作らない身分なので気が進まない。
その娘は野心が高く態度も尊大、王妃より豪華な服を作れと御針匠に命じる。

ゴンジンは王にプレゼントする服作りを王妃に教えることに。
並行して王妃へ美しい服も作ってやった。
それを着て王妃の父の墓参りに出かける二人(とお付きの女性)。宮廷に嫁いで以来初めて。王妃は墓石の前で泣き崩れた。

狩猟服も気に入った王は、ゴンジンにまた服を作らせるようドンソクに言う。
王妃はとても服を気に入り、女官たちも口々に褒めた。
流石に複雑なドンソク。しかしその服は見事だし、ゴンジンはドンソクを信頼し協力を頼んできた。また仲良くなる二人。
二人とも服作りが大好き。

しかし王は新しい側室に夢中。やがてはあの側室が正室になるかもしれない。
もとは王妃は先王の妃候補だった。しかし弟王と好きあい、それを知った兄王が弟に与えてやる形を取ったので、二人は結婚したものの関係性はこじれてしまった。
兄王はずっと弟に優しくなかった。
寂しそうなゴンジンは王妃を舟遊びに連れ出す。ゴンジンに心を開き寂しさを見せる。

軍部総長は王に、ゴンジンの服が流行りすぎ秩序を見出していると王に訴えた。
王は御針匠を信任直し、御針匠はゴンジンを追い出す王命に加担。側室の婚礼衣装作りにも積極的になった。
ゴンジンを追い出した御針匠だが、お互いリスペクトもしていたので何だか心に穴が空いたような気持ちに。

側室との婚儀の件を聞いたゴンジンは再び王妃に謁見し、その婚儀で王が釘付けになるような衣装を作って見せると訴える。
二人きりで採寸する。本来ならありえない。
ゴンジンと御針匠は妓楼で出くわした。
そこでゴンジンが王妃の衣装を作ろうとしていることを知る。もちろん身分を越えた行為、重い刑を受けるかもしれない。
ゴンジンは姿を消した。
部屋をアサルト無数のデッサンが見つかり、御針匠はそれを盗んで帰った。
そして側室の婚礼衣装にそのデザインを使い、自分が作り上げたかのような気分になった。

宴の日。
側室は御針匠の作った美しい衣装で登場。
続いて王妃のお成り。見事なまでの神々しく荘厳な衣装で全員圧巻。みな王妃に敬意を払った。
そして王もついに王妃に微笑み、その手を取った。
側室と御針匠は悔しさに震えた。

その夜、ゴンジンは王室を去ると別れを告げる。
そのとき、王が初めて王妃の部屋を訪れる。
しかし王妃とゴンジンが二人でいるのを見て怪訝な表情を浮かべ側室の部屋に帰っていった。
側室はさらに王妃とゴンジンの噂を王に告げ口。
すっかり信じ込む王。
しかし王は悔しいがゴンジンの服が好き。御針匠に、そっくりに作ってくれと泣きながら頼む。

そしてゴンジンは町から連行され、王は御針匠と結託して暗殺の濡れ衣を着せゴンジンを処刑しようとする。
かばおうとした王妃まで罪を着せられそうになり、ゴンジンは咄嗟に自分が一人で計画したと嘘をつく。
王はもちろんその嘘を知っている。見抜いた王妃は王を非難してその場を去る。
しかし王は処刑を止めようとはしない。

夜中、牢屋を訪れる御針匠。
御針匠に憧れ稽古を詰んでいた一人の子どもを思い出し、それがゴンジンである確証を得る。
しかし御針匠は嫉妬と怒りをぶつけ、ゴンジンはその手に恥じない服作りをとだけ言い残した。

ゴンジンがいなくなった後、御針匠は多少の昇進をした。
王妃は王への愛着も無くし、唯一の友も亡くし、前にも増して孤独の日々を送った。
御針匠は、ゴンジンが密かに作っていた昇進祝いの服を見つけ泣き崩れた。結局王とはその後距離を置かれてしまった。
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