わさび

ハッピーエンドの選び方のわさびのレビュー・感想・評価

ハッピーエンドの選び方(2014年製作の映画)
4.6
良い映画だった。
イスラエル映画は初めて観たが、少なくともこの作品は、とても質が良くて感心した。

安楽死・尊厳死が禁止された国で、それを選ぶ老人達と、更にそれを手助けする老人達を描いたドラマ。
他の方々も書いているが、やはり、考えさせられる内容だ。わたしも、長い事苦しみ続けて息絶えるより、自分が終わらせたいと思った瞬間に人生の幕を引きたい、そう思うような気がする。
本作では、そうした安楽死の是非を問うてもいると思うが、それ以上に、死に対して本気で向き合う老人達の姿が活写されている。所々でユーモアも交えながら――つまるところ喜怒哀楽という人生で抱く感情を全て、彼らは1時間半の間に、本気でぶつけてくるのだ。それはなかなかに圧倒される体験だった。

果たしてこの物語は、凄惨な悲劇か、愚かしい喜劇か、彼らのした事は犯罪か、それとも慈悲か?
わたしはこの映画をずっと忘れないだろうと思う。

ときに、やけに明るく世俗的な雰囲気を醸しているこの邦題は、やはり内容に沿っていないと感じられる。
英題は「The farewell party」=「送別会」。言語のヘブライ語ではどういう意味だったのだろう。是非知りたいものである。
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