わさび

ヒトラーに屈しなかった国王のわさびのレビュー・感想・評価

4.3
実直な映画だった。歴史の勉強にもなったし、政治学の勉強にもなった。
ノルウェーで初めて国民に選ばれた国王として、それも強国に侵攻された立憲君主制の国にあって、自分がどのような役割を果たすのか。何を重視し、どんなメッセージを打ち出すべきなのか? これは実際難しい問題だし、そうしたホーコン7世の苦悩は、よく描かれていたと思う。
ナチスに屈さず、かの国の傀儡となる事を避けるべきだとした彼の考えは、一つの理屈ではあった。無論、その後ノルウェーが辿った歴史を考えると、それが正しかったのかどうかは、わからない。が、少なくとも、(降伏の代わりに)クヴィスリングを首相に擁立する事は民主主義に反するとして、それだけは絶対に支持しなかった、その姿勢は立派だと思う。ホーコン7世というのは、民主主義の大切さ、近代国家では民主主義なくして王室は成り立たないという事を、実によくわかっておられる御仁なのである。
主演のイェスパー・クリステンセンさん、とても良かったです。
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