ザ・レインコーツの「フェアリーテール・イン・ザ・スーパーマーケット」を聞いてドロシーは言う。「もっときれいに演奏できないの?」。ああ、完璧だと思った。
20th Century Women --「 20 世紀の女」はそのタイトル通りの映画だった。この映画は、 20 世紀へのノスタルジーというよりも、 20 世紀という時代に捧げられた、淡く、美しい別れの手紙のようなものだ。その筆致は、あまりにも見事で、感動的で……。
過去と現在と未来と、そのほかこまかく切られた時間、時制がいくつも交錯する構成も見事だし、冒頭に引いたようなシーンの台詞にしても、どうしたらこんなに見事な脚本が書けるのだろうかと、いたく感心し、マイク・ミルズへの嫉妬心なようなものをおぼえる。演技も、キャスティングも、すべてが完璧に近い。ほんとうにいい映画だった。