ゲイリーゲイリー

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のゲイリーゲイリーのレビュー・感想・評価

3.0
初めてのグザヴィエ・ドラン作品。
なので、この監督の特色などに関しては無知な状態で鑑賞。
冒頭部分での、Adeleのrolling in the deepの使い方を見て、音楽の使い方が素晴らしい監督だと感じた。

本作のテーマでもある母と子の関係がとても丁寧かつリアルに描かれていた。
ジョンとルパートの2組の親子関係を描く事で、彼ら2人の共通点が浮き彫りになっていく。
また、2組の親子関係が違った形の問題を抱えているのが良かった。

ジョンの母親が、ジョンの事を断定するかの口調で他人に話す様や、彼のためだけの料理などを押し付けがましく用意する様など描写は、どこまでも息子を自らの支配下に置いておきたいという欲の発露のように思われた。

ルパートの母親は自らが叶えることの出来なかった夢と、夫との関係性の理由を全てルパートに押し付けようとしているように見えた。

ただ、2組の母親の根底は息子への愛だということも上手く描かれていた。
個人的には、ルパートの手紙が読まれるシーンが非常に胸を打った。(このシーンで流れたflorence and the machineのstand by meがより感動的にしていたと思う。)

愛するが故に関係性がギクシャクしていく様子や、愛が憎しみを孕んでいる様など、愛というものを単色で描くのではなく様々な色を用いて描く監督なのだなと思った。
本作以外の作品も観てみたいと思う。