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メッセージのshihoのレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
3.9
ばかうけのような形をした400m越えの巨大浮遊物体が突然、同時に12隻、地球各所に到来。

世界は非常事態に陥りながらも向こう側は攻撃はして来ずただその場にいるだけ。

どうやって、何の為に来たのか?

を解明するために言語学の第一人者という学者の主人公が米軍に協力を求められる。

『殻』と呼ばれる飛行物体の材質は不明、中身も不明。放射能や有害物質の排出は確認出来ないが、中は地球と異なる重力が働いている。
18時間おきに112分だけ開く入り口から入り、透明の壁越しに現れる彼らと対峙し『対話』を図る。

光と音の使い方が効果的で、
草原の中に浮かび上がる巨大な浮遊物体の映像は壮観で、畏怖の念さえ抱くほどでした。
あまりにも大きいとそれだけで恐怖を感じるものなんですね。
無駄な光を極力省いて自然光で撮られているっぽいシーンが多く、(逆に言えばそのせいで見辛いシーンもあったのだけど)それがより現実味を際立たせていたと思います。

効果的なズーーーンって音や、浮遊体の近くに設営された基地で鳴るサイレンの音、やってきた「彼ら」の発する言語なのか鳴き声なのか不気味な音声。

あぁこれ映画館で観たら見応えあったろうなーー!と思いました☆

「彼ら」は7本足の3mくらいある、頭部がゴツいタコみたいな見た目で、なかなか威圧感ありました。7本足を由来して『ヘプタポッド』と名付けられています。

未知の生命体から侵略される映画は数あれど、ここまでお互い対話しようと歩み寄る(あちらさんサイドが若干受け身な気がしたが、まぁ足を運んでいただいたわけだし笑)過程を丁寧にやるお話は新鮮でした。
言葉のしくみって学問になるくらいだからすごく深いんですね。面白かった。

「文字」でのコミュニケーションが通じた時はなかなか興奮しました。
相手の文字はどうやら象形文字の類で、言語とは繋がらないものである事がわかります。
ヘプタポッドの手(足?)の先はサンゴみたいになってるんだけど、その先から墨のようなものを出して(やっぱタコやん!!)円形っぽい文字を作り出します。神秘的。

主人公のチームは段階を踏んで丁寧にこちらの言語の仕組みを勉強させていくんですね。
個には名前があるというところから。
(ここらへん、生まれつき見えない、聴こえないが為に『言葉』を知らなかったヘレンケラーに家庭教師サリバンが「物や人にはそれを表す名詞がある」と教えた流れを連想しました。)

最終的に、「YOUは何しに地球へ?」を聞く為に。

その答えが世界各国に波紋を呼び、いつものキャラ設定(かなり現実に近いとは思うが)通り笑、
一番に武力行使しようとする中国が離脱して、
ロシアは国の命に背いて情報発信した自国民を殺し、
それに続くように12カ国は通信を遮断して各々攻撃体制に入ってしまいます。

最終的に主人公の必死の執念と行動でヘプタポッドの目的、「何を伝えようとしているのか」を理解し、大げさでなく世界を救う事になるのです。

白昼夢のように現れる病死した娘との光景・やりとりが、良い具合にヘプタポッドとの意思疎通同様だんだん繋がっていく感が心地よく、緊張と、切なくて辛くて、でもあたたかくて嬉しいような、不思議な感覚にさせてくれるストーリーでした。
最後、浮遊体が霧のように消えていくのがまた良かった。

知的好奇心のようなものを刺激されましたし、提示される情報を一つ一つ理解して観ていかないとついて行けなくなりそうでした。
何回も巻き戻した笑

ヘプタポッド達は地球人類より遥かに上位の存在であったんだけど、その後の主人公の選択も含めて、自分の見ている世界だけがこの世界の全てはなく、大きな概念の中に存在している一つなのだと考えると、壮大な気持ちになりますね。
その中に存在している自分や周りの世界があらゆる可能性の中で生まれた奇跡の一つのように感じられました。

静かな映画だったけど、ズッシリとした重みがありました。


あと、イアン(ジェレミー・レナー)がおっさんなのにやたらかわいかった事を報告しておきます。
検索したら候補2つ目に
「ジェレミー・レナー かわいい」が出てきたので世界共通の認識のようです。かわいいおじさん好きな人にはぜひオススメします笑
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