せーじ

ちえりとチェリーのせーじのレビュー・感想・評価

ちえりとチェリー(2015年製作の映画)
4.2
143本目は、その存在を知ってから、どうしても観たいと思っていた作品。
イオンシネマでの公開が今日までということもあり、滑り込みで鑑賞。
限られた時間の中で、起承転結がきちんと成され、演出も丁寧な素晴らしい作品でした。

物語は、肉親の死とそれに伴う孤独によって心を閉ざし、いわゆる「イマジナリーフレンド」を抱き続けてきた少女が、自分自身の内面と対峙して「死」への恐怖と悲しみを乗り越え、成長していくお話。
パペットアニメーションは物凄く手間がかかる手法だと思うのだが、モーションやカット割りは実写映画のそれとほとんど遜色がなく、そうだという違和感を持たずに物語に没頭することが出来た。そこがまず凄い。
加えてストーリーは内容と構成が素晴らしく、想像力というものについての素晴らしさと恐ろしさの両面を描くという、かなりハードな内容であるにも関わらず、ご都合主義に堕ちることなく最後まできちんとそれを語りきっている。
エンディングに主人公の名前のルーツが語られるくだりで、物語全体が綺麗に結ばれ「うまいなぁ…」と思えたし、その後彼女の母親が涙するシーンでは、思わず自分も涙。よく出来ている作品だと思いました。

全国公開は終わってしまいますが、非常に完成度の高い良作であると思います。
見かけられましたらぜひ。
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