まずこれは、純粋に映画として心情をとても丁寧に描いた秀作じゃないかと思いました。
背景となっている紛争の歴史が実際どんなふうに人々に影響し苦しみを与えてきたのか。本当のところは当事者でないとやっぱりわからないんじゃないかと思います。古くから根強く残ってきた憎しみもあれば、もっと現実的に、身近な人を殺された憎しみもある。でもそこはどんなに想像しても埋められないものがあって、こういう映画を観る時にはやはり我々はその部分がどうしても欠けてしまう。
でもそれはとりあえず仕方ないからある程度でいいと考えて、映画として映像や俳優の演技に集中してみると、とても自然な描写で登場人物それぞれの心情がよく伝わってくる。同じ俳優が別の時代の別の物語を演じていることは最初から分かっていた方が良いとは思いましたが。
切ないですよね。たとえ想像でも、紛争がこれだけ普通の人たちの人生に影響してるって考えると。それはとてもよく伝わってきたので、観れて良かったです。アマプラの拾いもんでしたが、いい映画に出会えました。