優しいアロエ

シティ・オブ・ゴッドの優しいアロエのレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.2
〈神も見放す「神の街」〉

 貧困と犯罪にまみれた混沌の世界を、荒唐無稽なカットの応酬と後日談的語り口で紡いでいくファベーラ版『グッドフェローズ』。

 若者を中心とした抗争の断片を、穏やかな青年ブスカペはカメラを通して見つめようとする。そんなブスカペを挟みこむ形でギャングと警官が対峙する局面は、ドキュメンタリックな物語がふいに人工的かつ象徴的な構図を迎えた瞬間だ。その試みは、同じく犯罪社会を生きる子どもたちを追ったラジ・リ『レ・ミゼラブル』の終幕へと継承される。

 悪の親玉リトル・ゼは死んだ。だが、依然として「神の街」に秩序は訪れない。
優しいアロエ

優しいアロエ