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ジョン・ウィック:チャプター2のymdのレビュー・感想・評価

4.0
87Elevenが送るガンアクションシリーズの2作目。
鑑賞済み未レビューだったけど、3作目を観るために久々の再鑑賞。やっぱり面白かった。

非常にゲーム的・グラフィックノベル的なアイコニックな視覚表現と、創意工夫に満ちたアクションの面白さは健在で、それらはすでに前作で確立されていたけれど、今作でより研ぎ澄まされた感がある。

ジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス)のスタイリッシュながらも泥臭い動きを眺めるだけで楽しいけど、驚くほどに潔いストーリー展開も相まって非常にドライブ感のある娯楽作品に仕上がっている。

前作もそうだしシャーリーズ・セロンが主演した傑作『アトミック・ブロンド』もそうだけど、87Elevenのアクションというのは銃器と体術を組み合わせた”ガンフー”が痛快で、しかもちゃんと主人公たちは受けたダメージを蓄積してボロボロになっていくのも迫力があってよい。

圧倒的な強さはファンタジー寄りだけど、ちゃんと自分も痛みを負っているリアリティを見せることでギリギリのフィクションラインを保てている。

「ここでジョン・ウィックの頭狙って撃てば一発だろ」ってところで銃使わずに殴り掛かってきたりする敵の都合のよさも多少は気になるものの、その不満は些末なもの。この程度はジャンル映画としての様式美として許容できる。

ダントニオ(リッカルド・スカマルチョ)の徹底したヒールっぷりや、アレス(ルビー・ローズ)の強烈なキャラ立ち、カシアン(コモン)のクールな立ち振る舞いなど登場人物がいちいち個性的で魅力的なのも今作のゲーム感・グラフィックノベル感を際立たせている。特にコモンとキアヌの対決は今作の白眉だし、駅の人込みの中での撃ち合いのシーンは大変笑える珍妙な名場面だった。

メッセージ性や訓戒は皆無なのも前作同様で、純粋なアトラクションムービーとしての役割を全うしているし、“みんなが観たいジョン・ウィック”を余すところなく描き切っているという点では非の打ちどころがない続編だと思う。面白かった。
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