成川ジロー

ジョン・ウィック:チャプター2の成川ジローのレビュー・感想・評価

4.5
最高でした。
最高でした!
最高でした!!

1は面白いアクションをやって魅力的な世界観をチラ見せしつつも、主人公ジョン・ウィックが微妙に弱くて普通に敵前で気絶とか何回かしてて本当に強いの?って思っちゃったり、敵に魅力的なキャラがいなかったり、肝のガンMMA(ガン柔術?)も弾丸を撃ち終わって銃のスライドが後退して止まると毎度銃を横にしてそれを確認する動きを挟んでてプロっぽく無くない?って思っちゃったりしてて、好意的に見れて楽しめながらも惜しい作品だった。
でもこの続編のチャプター2はそこら辺の自分の不満点がほぼほぼ全て改善され、ジョン・ウィック(と犬)の耐久力は爆上がりして、魅力的なあの殺し屋裏社会も出し惜しみ無し。ホテルには何度も行くし、トライガン・マキシマムのヴァッシュのコートの様な弾丸を通さないスーパースーツの仕立て屋さんや、おそらく世界中のガンマニアが「この職業に付きたい!」と思ってやまないであろうカッチョイイ銃ソムリエなんてキャラも出しちゃって最高に楽しい!
肝のガンMMAアクションも凄いパワーアップ!全体的に長めで引きで撮ってるから何やってるか見やすいし、ショットガンもアサルトライフルも今回は面白かった。やってることは銃を使って至近距離で時には組み合って投げたり関節極めて動けなくしながらも最後は銃を使ってとどめを刺すって言う、同じことをこの映画の中でずっと繰り返してるんだけど、全然飽きなかった。むしろもっと見ていたい。それだけ格好良いし、爽快感あるし、銃撃戦とMMAの融合に大成功してる。このアクションだけでも見る価値がある。
敵キャラは今回特に良くて、ジョン・ウィックに襲いかかる個性的な殺し屋だけでなく、コモン演じる旧知の中ボスと、ルビー・ローズ演じるボスのボディガードが最高最高最高過ぎた!
ルビー・ローズはもうほんと姐さん!抱いてくれ!!って感じですよね。物凄いオトコマエ!!手話に中指立てを組み合わせて煽ったり、ボスの窮地に間に合って肩を叩いて「私が来たわよ。安心して」って言わんばかりのウィンク、そしてボスを逃して私が食い止めるとドアを閉める。なんなんだこの同じ世界の人間と思えないレベルの格好良い姐さんは!?アクションも良かったし、前に部下が通るときちゃんと銃下げたりしてて身のこなしもちゃんと良かった。チャプター3にも是非出て欲しい!ってか味方になってくれてもいいよ!!なんでも良いからとにかくまた出てくれ!!!
コモンに関しては中盤で退場してしまいますが、ホテルに中断される一回目のコモンとのバトルが本当に凄まじかった。挨拶してからの即撃ち合い、車を挟んでの近距離銃撃戦や、ナイフと拳銃にスパイラルガードや飛行機投げなどのMMAの技術が組み合わさって超至近距離戦、ずっと見ていたいくらい楽しかった。本当に素晴らしい。その後もまだまだ続く噴水前、サプレッサーでプシュプシュ合戦(笑)、電車の中での距離の詰め合い、などなど。全部最高。『スモーキン・エース』以来色んな映画に出てるコモンを見てるけど、今回がベストコモンだったと思う。時点で『ラン・オール・ナイト』の殺し屋コモン。殺し屋が似合うね。ほんと良かった。
監督は元プロ格闘家で試合で来日したこともあるらしいですね。プロレベルの格闘家でアクション映画監督なんて、自分の理想です。しかもこのチャド・スタエルスキーの奥さんは劇中のバイオリン弾きの殺し屋の人で、プロのスタントだとか。何この人?俺の理想が現実化したの?この監督とキアヌはマジでボンクラで、自分みたいな人間の見たいものってのがわかってるわ。ほんと御見逸れしました。本当に大満足でした。ブルース・リーオマージュも、しっかり受け取りました!
ツッコミどころも沢山あって、それが良い意味でのツッコミどころで楽しいので、超おすすめです。
別にこれ単体でも楽しめなくはないけど、前作から直で繋がってるから、気になってる人は一応前作を見てから劇場に行きましょう。香港やタイ、インドネシアにも負けてない超絶ガンMMAアクションは是非劇場で!!ハマる人はドハマリするぞ!!!


ここからは私見の余談です。
自分は格闘アクションもガンアクションも大好きなんですが、この映画の新しいガンMMAアクションに感動してしまいまして、正直コモンとキアヌの戦いはもう目だけでなく心を奪われてしまっていました。『イップ・マン継承』や『ドラゴン×マッハ』を見ていた時と同じ現象でした。
キアヌはカンフー大好きのボンクラで、自ら監督して悪いボス役もやって世界から格闘アクションができる面白い奴ら集めてきて作った『ファイティングタイガー』(原題『Man of Tai Chi』)というB級映画があります。心意気はわかるのですが、脚本の酷さと世界観を作り込めてないのと、ラスボスのキアヌの格闘アクションの技術が微妙だったことで、ダメ映画になってしまったと個人的には思うのですが、そんなキアヌが今回見事に汚名返上できたなと思います。
正直今回のガンMMAアクションは中国のカンフーアクションや、日本のチャンバラアクション、インドネシアのシラットやタイのムエタイアクションに負けていません。世界に誇れるレベルのアクションベースを作ったのが本当に凄い。ハリウッド=アメリカがカンフーアクションがいくら好きでも、どうやったってカンフーアクションを作っては中国、香港には敵いません。ならどうする?アメリカには何がある??世界一のMMA、UFCがある!そしてガンアクションがある!それらの融合が見事です。この時代に新しいアクションを作り出すのほんと凄い。勿論キアヌだけでなく、監督、製作、脚本、スタントチームの頑張りですが、ほんとお見事。お見事です。
自分のアクションにMMAの要素を積極的に取り入れてる世界のアクション・スター、ドニー・イェンなんか、この映画見たらメチャクチャ悔しがるんじゃないかと個人的には思っています。「ちくしょう!MMA要素を取り入れたアクションで、俺よりも面白いことをやられてしまった!」って感じで。
まあアクションにあまり興味のない一般層にはあまりウケが良くないかもしれませんが、我らボンクラには革命的な面白さがあるし、映画アクション史に残る大業だと思います。
あと2回は映画館で見たい!!
成川ジロー

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