ryosuke

光りの墓のryosukeのレビュー・感想・評価

光りの墓(2015年製作の映画)
3.9
心地良い退屈感のある作品。
生活の断片がイメージの連関によって繋がれていく。
回転する扇風機とミニ水車。光の変化で色が移り変わる扇風機のショットは印象的。
ナルコレプシーの兵士たちと停止したショベルカーの繋ぎにハッとする。何か強く「死」を感じさせる。
色彩の移り変わる都市の光に照らされる人々を映し出した後、エスカレーターの鮮烈なショットと、同様に色の変化する治療装置の光に照らされる兵士たちをオーバーラップするシーンは映像的なクライマックス。
思いっきり排便シーンがあるのには驚いた。
真昼間にシームレスに霊魂が登場したり、過去と現在が重なり合う探索シーンがあったりというのは面白い。これはタイ全体で共有されている感覚なのかアピチャッポン独自のものなのか。
全編抑制的なのでラストのヘロヘロした音楽(見終わってからもずっと頭の中を流れている)やエクササイズシーンのカメラの動きが際立つ。
ラスト、瞬き一つせず目を見開く主人公は何かから目覚めようとしているのだろうか。
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