KouheiNakamura

BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアントのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

3.5
いつでも夢を。


スティーブン・スピルバーグ監督がディズニーとタッグを組んだ、ファンタジー映画。
基本的には児童文学が原作なだけあって、全体的にぼんやりした話。映画らしい見せ場や山場もほとんどないので、ちょっと平板に感じてしまうかも。ヤヌス・カミンスキーの撮影は相変わらずめちゃくちゃ美しいが、話が動かないので少々退屈かと。ギャグも子供向けらしいものばかりで、少々魅力に欠ける。巨人たちのイメージは悪くないが…。

とここまでなら普通のファンタジー映画なのだが、映画が中盤に差し掛かった頃になってあることに気がついた。主人公の少女が出会う、巨人にしては小柄な方で争いを好まずに子供達に夢を与える仕事をするBFG…。これ…スピルバーグじゃね?
スピルバーグ自身も身長が低く、子供時代にはよくいじめられていたらしい。この映画のBFGが他の巨人たちにいじめられる場面は、スピルバーグ自身の記憶と重なるのではないか。また、子供達に夢を与える仕事…スピルバーグが目指した理想の姿が、BFGなのではないか?

ふとクレジットを見ると、脚本のメリッサ・マシスン。本作が彼女の遺作となったのだが、彼女の代表作はスピルバーグ監督のSFファンタジー、「E.T.」である。本作はそんな彼女がスピルバーグに捧げた、最後のラブレターなのかもしれない。
映画のラストカット、満足気に微笑むBFGの表情がスピルバーグと重なり、そんなことを考えた。
KouheiNakamura

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