KouheiNakamura

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

4.5
What have we done?


アフリカ、ケニア。ドローン空爆によるテロリストの捕獲作戦。英米共同で行われるこの作戦は簡単に済むはずだった…。しかし、事態は急変。テログループが今にも爆破テロを起こすことを知った英国政府は揺れる。スイッチを押さねば、80人相当の民間人が死ぬ。しかしその決定は誰が下すのか?刻一刻と状況は悪くなる。ようやく攻撃命令が下ったその時、ドローン攻撃によって推定される被害範囲に一人の少女が入り込む…。

ヘレン・ミレン、アラン・リックマン(今作が遺作。合掌。)、アラン・パーカーら実力派キャストが揃った緊迫感溢れる社会派サスペンス。監督は「ツォツィ」、「ウルヴァリン XMEN ZERO」のギャヴィン・フッド。

共犯関係の築き方が上手い作品だと思った。102分間、一度も緊張感が途切れないのは我々観客の目線と画面越しに事態を見守る登場人物たちの目線が一致するからだ。気がつけば観客も彼らと同じように決断に悩み苦しむことになる。大勢の人間を救うためなら、多少の犠牲は仕方がないのか?人の命を数字だけで考えてもいいものなのか?
この物語の迎える結末は非常に辛く苦いものだが、彼らの決断を安易に否定することはできない。事の顛末を全て見届けた我々観客に出来ることは、もう戻らない時間を惜しむことだけだ。

現代の戦争を描いた、まさに傑作。おすすめです。
KouheiNakamura

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