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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のshihoのレビュー・感想・評価

4.0
偵察機のカメラや小型ドローンを駆使して長年の調査の末遂に見つけたテロリスト達を捕まえようとするも、突入前にテロリスト達は突入出来ない区域に移動し、更に自爆テロの準備を始めたではないか!
捕獲が目的だったけど民衆のど真ん中で自爆されれば50〜60人の罪無き命が失われる。
やむなくミサイル撃ち込んで皆殺しにしようとするも、テロリストが集まる家のすぐ側で一般人の少女がパンを売り始める。
ミサイルを撃ち込めば少女は死んでしまう確率が高い、
撃ち込まなければ野に放たれたテロリスト達は確実にこれから多くの人を殺しに行く。
そうこうしている間にも奴らはお腹に爆弾を巻き巻き、声明ビデオ撮影など着々と準備を進めている。

時間がない!
でもパンはまだ売れ切らない!
どうする?! というお話。

「空の目」というタイトルの通り、空から監視するだけの予定だったのにミサイル撃つ羽目になった軍人、手続きをなんとか突破してやっと見つけたテロリストを殺したい大佐、自分が「GO」とは言う責任は負いたくない官僚達。

ただ毎日を懸命に生きているだけなのに、そんな人達を守る為にテロを防ごうとしているのに、
何ともやり切れないですね。

当たり前の話なんだけど、
「命って平等じゃないんだな」って実感しました。
同じ人間でもモニターの前で殺すか殺さないか決める方と
何も知らずに撮られ続けてる方と。

「空の目」を使う人間達を「神の目」から見下ろしてるみたいな感覚になる作品でした。

漫画「地獄先生ぬ〜べ〜」で、鵺野鳴介は
「人間っていうのは何人死ねば何人助かるなんて数で考えるんじゃない!目の前に死にそうな奴がいたら助けずにはいられない!それが人間ってもんだ!」(うろ覚え)と妖狐玉藻に命がけでお説教していましたが、
今回ばかりは「それでも決めなくちゃいけないんだよ」というお話でしたね。
(ところで小学生の頃はヒロシが好きだったのに大人になって読み返したらやだぬ〜べ〜イケメン!ってなったわ)

いつもお茶目で美しいマダムであるヘレン・ミレン様がまったく別人の大佐を演じているのは見応えあったし、
アラン・リックマンの遺作でもあったのでまた彼を見られて切な嬉しかったです。

ハラハラ具合で言うと戦争映画の中ではそこまで手に汗握りはしなかったかな。
非常に客観的な気持ちで観られる作品。
でもネタバレに書くけど終わり方も含めてきれいにまとめ過ぎてる感じはしたかな。

鳥ドローンと虫ドローンはロマンがありますが、これは「こういうものがある」と認識された時点で周りを見渡せばすぐバレてしまうよなぁと思いましたw
操作してた男性が一番よく頑張った!
「はぁ?そんな事で何をゴタゴタしてんねんさっさと撃たんかい!」って言ってきたアメリカの女性がピリリと辛くて効きました笑

おおよそどんな時でも「イエス、サー(マム)」と応える軍人さんを見ているといかに普段自分が上司の命令をちゃんと聞いてないかとちょっと自己嫌悪だったな…汗
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