永遠に出せない答え
極端な言葉の表現になるが
世界一安全な場所で まるでゲームで遊ぶように人の命を弄ぶ ボタンひとつで 街ひとつを簡単に破壊する 誰かの命令さえあれば
余りにも残酷な事実を容赦無く突きつけられ 地球の未来に暗雲が立ち込める
こんな事してたら 将来 待っているのは破滅しかない
アーロン・ポールが 『ニードフォースピード』と同じ人情に厚い役柄は真骨頂 彼は命令に背く形ではなく 安全性を今一度検証して欲しいと上手く切り抜ける
例え苦悩する表情でも生前の彼の姿を
見ると胸が熱くなる アラン・リックマン
一見 冷酷非道の人物のように描くも
過去の経験が 最後までボタンを押す事を反対していた女性の胸に刺さる と同時に観客にも届く 本当の悪人はここには居ない
祖国の為に働いている 愛国者なだけだと言い訳のように語る
ヘレン・ミレンが全て終わった後で帰路に着く車のボンネットを叩く土砂降りの雨はまるで彼女を攻撃するかのよう
それにじっと耐えて運転する表情が上手く読み取れない 安堵してるようにも見えるし
悲観してるのかもしれない
なんとか少女を助けようとする描写が結構あったのも救い パンを買いに走る少年が少女の元に辿り着くまでのサスペンスは秀逸 まるでドキュメンタリーのように観客の心理を追い詰めて行く
目の前の少女一人と大勢の人間
どちらを救うべきなのか
『アイ・イン・ザ・スカイ』で投げられた
問いかけの答えは永遠に解けない
だけど 鑑賞後に読んだ町山さんの著書の一節「一人を救う者は世界を救う」
の言葉が胸に響く