あーさん

何者のあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

何者(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

思った以上にグイグイ来る作品だった!
桐島、部活やめるってよ、に続いて朝井リョウの原作は既読。
この人の観察眼、ほんとすごいな。

スコアはつけない主義だけど、Filmarksでの評価が何故か低めなのは気になった。
自己評価の高い人が多いのだろうか。
それとも、自分が『何者』かなんてあまり考えない人が多いのか。

これは就活周辺の若者だけでなく、SNSやるやらない・性別年齢不問で、あるゾーンに陥ったことのある、若しくは今まさに陥っている人達には、ものすごく突き刺さると思う。

面白い!

そして、身につまされる。

でも、どちらかというと私の場合、面白さの方が勝ったかな。

今作をある意味"ホラー"と言う人もいるが、ラストは清々しささえあった。

だって、人なんて二面性あって当たり前だし、人によって態度が変わるって普通だし、優しそうに見える人が実は性悪なんてよくあることだし、その逆もさもありなん。自分のことはよくわからないけど、ある程度長く生きてると、色んなことをリアルに感じざるを得ない。。
母親をやっていれば、子どもや配偶者を介したマウンティングは日常茶飯事。
(と思っていないとやってられない。。)
そういう人から距離を置けるようになったのは、子育てが一段落してから。

若い頃は、辛い。。これじゃあ弱肉強食、とてもじゃないけどこんな過酷な世界でサバイバルできない、、なんて思っていたけど、今は本当に優しいとか、強いってその向こう側にあると思うから。
簡単には負けない!

自分に自信のない人は、必要以上に人を下げて自分を上げる。又は、人を上げて自分を下げる。
どちらも極端で間違っている。

相対的にしか自分を見られない人は、常に誰かと自分を比べて上がったり下がったりする。不安定。。

確固たる自分ってなんだろう?って思った時に、今の自分を等身大の言葉できちんと語れるか?という事。
マイナスの部分を隠さず、できることとできないことをちゃんと区別して、地に足つけて現実的に努力できるか?という事。
簡単に言えば、いいカッコしないで裸になれる事!
本当の意味で大人になれるかどうかってことになるんだと思う。

そんな大事なことにも私は気づけず、成人してからも社会人になってからも長い間子どもをやっていた。
理想の自分から抜け出せず、いいカッコばかりして生きてきた。
比較的早くに仕事を辞めて結婚した私は、就活ではなく子育てを通して、大人になれたような気がする。それもごく最近。。

どんな場所にいても、楽だなんてことはない。外で働くことも、子育てすることも、介護することも、それぞれの立ち位置にそれぞれの事情がある。
比べることはできないくらい、大変なこと。

今の自分は『何者』ですか?

自分のことが好きですか?

全力で自分の物語を生きている人は、例え自分が何者かはっきりと言葉にできなかったとしても、自分のことが好きだと言えると思う。

自己肯定できる人は、絶対に自分の道を見つけてちゃんと歩いていける。

何者になれるのか、はそこから始まるんじゃないかな。

そんな風に考えると、私の人生はようやく始まったばかり。

色んな人に支えられて、ここに立っている自分がいる。
等身大の自分が認められたら、周りの人達も変わっていく。

自分が好きになれない人は、今作を観たら何かしら気づきがあるんじゃないかな。



佐藤健、菅田将暉、岡田将生、二階堂ふみ、有村架純。そして、山田孝之。

間違いのないキャストが、それぞれの若者のリアルを演じる。

監督は、舞台畑の三浦大輔。
挟み込まれる演劇のシーンが、物語とリンクする。効果的な演出だな。。

心の内をえぐってくる、、
でも爽快!
とても新しい感覚だった。

予定調和の上っ面だけの物語なんてつまらない!
久々にそんなことを思わされた作品だった。



**本作、主題歌
田中ヤスタカ、feat.米津玄師の
♪NANIMONO がまた良いね〜
しばらく耳に残る。。




おまけ♪
最近、好きになった言葉

バッドエンドはない。
僕たちは途中だ。 by 又吉直樹

ヒーローになるためには、ピンチが必要なのです。 by 中谷彰宏
あーさん

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