かつきよ

KUBO/クボ 二本の弦の秘密のかつきよのレビュー・感想・評価

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
3.8
ほとんどの人が言及している通り、まずストップモーションアニメとしてのクオリティが非常に高く、CGに見えるほどです。
キャラクタの表情や細かい部分はCGを使ったのかと思っていたのですが、調べれば調べるほどに全てストップモーションで作られていたという事実が浮き彫りになり、驚愕しました。
ほんとに、さすがに表情とかは無理だよなーこういうところはCGだよなーって残念と同時に普通に受け入れていたところまで、全部ストップモーションなんて‥1週間でできた映像の平均は3秒ってすごいですよね。

ストップモーションアニメとしては、ニャッキやボブとブーブーズが世代で、よく見ていたのですが、それなりにカクカクした動きが入ってくるものの、ストップモーションらしい味のある絵柄でいいなーくらいに思っていました。
しかし長編映画となると、それほど大きな世界をストップモーションなんかで表現できるのか?と疑問でしたが、本当に表情豊かに、かなりリアルに動くキャラクターやギミックは圧巻です。何回見ても、ストップモーションだと信じられません。
まずはこのアニメーションを見る、と言うだけでもこの映画を見る価値は十二分にあります。

お話は単純明快ながら、どこか懐かしい冒険譚です。
日本のいろんな昔話をミックスしたような話なのですが、独特の雰囲気と切り口のストーリーは全く新しい物語としての新鮮さも併せ持っています。
焼き直しやリブートではなく、オリジナルで新しいのに、懐かしい
新しい昔話だ!となれるお話に仕上がっているのが本当に凄いと思います。これは、製作陣から日本に向けてのラブレターと言っても過言ではないでしょう。

超展開こそありませんが、気をてらわず、正統派な冒険譚の中で、キャラクタやストーリーを十分すぎるくらい魅力的に映してくれるので、ストレートに胸にきます。

船のシーンは圧巻ですので、ぜひ見て欲しいです。
日本の文化、それこそ、物語だったり、浮世絵などからもいろいろとオマージュが入っているみたいです、
全体的に日本的なのに、どこか西洋的な不気味さもあるんですよね。たとえば、闇の姉妹の不気味さは、洋ゲーの「リトルナイトメア」っぽいなと思いました。
物語として完成していますが、じつは詳細な設定は語られておらず、考察点として残してあるのもとてもいいと思います。
作品がとにかく丁寧に作られてます。

一つだけ残念なのは、キャラクターデザインが思い切りアメリカのカートゥーン調な所。
キャラクタは好きなのですが、どうしてもデザインに違和感があり、慣れてない身からすると、ちょっと気持ち悪いなとも思ってしまいます。

しかし、本当にそれだけで、人類史に残して永遠に保存しておくべき芸術性のある作品だと思います。
本当に、もっともっと話題になって欲しいなと思います。
気になっている方はぜひ、絶対に見た方がいいです!
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