キム・イングォン、主演やってたんや……。
韓国は社会問題をドラマにするのがうまいね。向こうの事情は知らんが、日本だと技能実習生の扱いがひどすぎてアカンかも。

この映画を一生覚えてる自信はないけど、
「♪ちゃん、ちゃん、ちゃん」
はたぶん忘れない。
なので将来思い出した時に
「この曲なんやっけ? なんでわし知ってるんやろ?」
てなるのが今からこわい。

まあまあ普通に面白い気もするが、一般の人に勧める?となるとちょっと躊躇するかもね。
これが楽しめたら韓国映画の初級者はそろそろ脱してるのかも、なんて思ったがでやろか。

キム・イングォンまさかの主演作発見。

韓国映画を見続けると、どうしても出会ってしまう脇役名優キム・イングォン。ブサメンでチンピラな役が多い彼のまさかの主演作は…なんとブータン人役ですと！？

どんな仕事に就いても失敗ばかりの主人公。最終手段として「外国人労働者枠」で工場に就職した彼の設定はブータン人。

ギャグ設定の中に描かれるのは、あまたある韓国映画で題材になることのなかった「違法外国人労働者のリアル」。日本と同様、アジア各国からの出稼ぎ労働者たちの冷遇は韓国も変わらない。

見所は終盤のすんばらしい外国人勢のアカペラ！！ありゃぁ感動。
キム・イングォン氏、40歳。マ・ドンソクやユ・ヘジンのように脇役からの遅咲きで、これから主演作で光って欲しいなぁ。憎めない愛すべき役者です。

韓国における外国人労働者がどんな扱いか、を描いた代表作としてもっと知られるべき。と数日前に知ったばかりのくせに言う私ですが、工場で働く外国人労働者は1階、監督する韓国人は2階、っていう親切な図解とか、それでも両者をつなげるのは音楽とスポーツ。というエンターテイメントが持つパワーへの信頼とか、故郷へ錦を飾らねばって韓国人の強迫観念が示す国内のピラミッド構造とか、見どころ多いですー。

主演キム・イングォンよりヒロインのシン・ヒョンビンのほうが個人的には顔なじみ感強く、それで言うと主人公は「ブータン人を詐称する韓国人」だからいいとして、ベトナム人設定のヒロインを韓国人が演じるのって、それなんてホワイトウォッシュ。
まあね、そういうことを言い出すと『ワンドゥギ』(2011)のユ・アインが韓国フィリピン・ハーフを出すため肌の色を黒くしているという、文字通りのブラックフェイス問題も想起されるのですが(キム・ギドク『受取人不明』2001はもっと露骨)。

その辺の認識アップデートはなかなか一筋縄ではいかないですが、それでもまあ邦画界よりは進んでるなあ。と思いました。