るるびっち

オペラ座の怪人のるるびっちのレビュー・感想・評価

オペラ座の怪人(1925年製作の映画)
4.2
でた~!! 怪奇やのマスター!!
漫画『魔太郎がくる!!』ホラーショップのマスターの顏(実は本作の怪人を模したマスクを被っていた設定)。
髑髏のようなゾンビのような醜悪な顏。
変装俳優、ロン・チェイニー畢生の傑作。
この人は俳優なのに、何で素顔を隠したがるのか?
と言うか単に変装好きなのか?
『ノートルダムのせむし男』に本作と、まったく素顔不明。
息子も狼男、ミイラ男、ドラキュラ、フランケンシュタインの怪物と四大モンスター制覇!! どんな遺伝子やねん。

映画評論家・双葉十三郎も中学時代に観て、悪夢にうなされたという凝ったメイク。鼻の穴だけに見えるように、鼻の中に金属を入れてプチ整形したという、大量に鼻血を垂らしての撮影、ご苦労様です。

オペラ座のセットが豪勢で本物と見紛うばかり。スタジオは壊されたがセットの方は保存されました。もしや怪人の執念によるものか?
YouTube で『Phantom of the Opera" set inside Stage 28 at Universal Studios, Hollywood』と検索すれば見られます。1925年に本物そっくりに作るハリウッドの凄さ。

後半は『ジゴマ』や『怪人マブゼ博士』のような、日本で言えば江戸川乱歩や黒岩涙香のような、解り易く言うと『カリ城』的な地下牢や水責め、灼熱責めの大掛かりな仕掛け。
ヒロインを救出しようとした男達が灼熱地獄の部屋に閉じ込められる。どんな仕掛けなんだろうか? これをオペラ座の地下で誰にも気づかれずに作り上げた怪人は物凄い才人じゃないか、どんな顔していた所でこれだけの才能があったら世に出られるだろう。一方で忍者のような水遁の術も見せる才人の怪人。
他のリメイクに比べ、うだうだと呪われた過去の顛末を回想・説明しない所が良い。そんなものは観てる側に想像させた方が面白いのだ。

どんなに美しいヒロインに恋焦がれてもその醜さで遠ざけられ、ヒロインはハンサム野郎とくっついて、哀れ怪人は民衆のリンチに遭う。童貞中年のままポアされる悲劇。
この映画から92年後の『シェイプ・オブ・ウォーター』では、ヒロインは怪物と恋に落ちる。時代も変わったものだ。

(ちなみにヒロインを演じたメアリー・フィルビンは、ジョーカーの元ネタで口が裂けていつも笑顏に見える『笑ふ男』(1927年)にも出演。変顔の相手役ばかりしている)
るるびっち

るるびっち