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リトル・マーメイドのようのレビュー・感想・評価

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)
3.5
実写リメイク版。

1989年のアニメ版は鑑賞済み。
元のアニメ版は去年テレビ放送で観た。
歌やアニメーションはよかったのだけど、ストーリーそのものに乗れなかった。公開当時においてはあれでよかったのだろうけど。


今作。

公開前からキャスティングについてギャーギャー騒がれていて、うっせえよと思っていた。
人魚という架空の存在を手前のステレオタイプに引き寄せて絶対的なものとして語ってんじゃねえぞ、と。
レビュー爆撃もあったようで。

それらの声を一蹴する、主演のハリー・ベイリー。
歌はもちろん、元のアリエルの天真爛漫なキャラクター像もしっかり体現している。

キャスティングについては、人魚側だけでなく人間側のほうも異人種が並列で一緒に出てくる。
おそらく中世あたりの時代設定において、現実的にはそこは違和感。
まあ人魚が出てくる話でもあるので、それぐらいファンタジーでも構わないとも言える。
あと、最終的な、人魚に対する人間側の考え方の変化と全員集合エンディングのことを思うと、はじめから多様的な考え方がある王国なら急にああなってもおかしくないよなと。


実写化で生身の人間が演じていることで、生々しさや話の切実さは増す。

その点で、特に後半のライバル出現展開は、アニメ版より人種的に手強さが増してる。

あと、エリックはアニメ版よりちゃんと人間だった。
かつてのディズニー映画に出てくる王子は、没個性なことが多いらしい。下手すりゃ名前すらないことも。
アニメ版のエリックも、自分からすると、話の目的のためだけに出てくる人物(アリエルのターゲットとご褒美としての存在)でしかない印象だった。
そこが今作では、元のアニメ版と大して違うことはやってないのだけど、生身の人間であることと、ちょっとした見せ方で、アニメ版よりは記号化された感じは薄い。

元のアニメ版にもあった、〈親の束縛からの解放と、未知の世界への開放〉要素。
そこをアリエル側だけでなく、エリック側にもちょっとあるのかなと思ったのだけど、そこは中途半端ではあったかな。


アニメ版とほぼ変えてない話の進行ではある。
ただ、後半から終盤にかけての展開はやや性急に感じた。
魔女との対決のくだり、アニメ版も割とアッサリやられちゃうところも踏襲してて、そこは物足りない。
(刺さるかなあ?とも思うけど)やられ方がアッサリなのはいいのだけど、海の世界側にせっかくたくさんのキャラクターがいるのだから、彼らも出せばいいのに。


キャストのなかで、魔女役のメリッサ・マッカーシー、鳥役のオークワフィナはさすが。
二人とも声がいい。
オークワフィナのラップは今作ならでは。


♪アンダー・ザ・シーのシーン。
実写化とはいえ、あそこはまあほぼCGなので、アニメと同様に画が楽しい。


総じて、アニメ版の良さは損なわれてないのだけど、実写化する上での良さをもっと入れて欲しかった。
よう

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