shino438

リベリアの白い血のshino438のレビュー・感想・評価

リベリアの白い血(2015年製作の映画)
3.0
この監督の他の作品を観たことがないけど、ある意味で「日本人らしい撮り方だなー」と思える作品。リベリアの現実と内線のトラウマと「ゴム」のお話。

ゴム農家の主人公がギリギリの生活から抜け出す為にニューヨークでタクシー運転手となる。最後のタイヤ交換シーンに何かしらの意味を持たせているのは「ゴム」つながりですね。ゴム農家としての貧乏な暮らしから抜け出したいと思う主人公シスコの思いは観てるこっち側の心をずっと鷲掴みし続ける。ただしこの映画は後半から急に「リベリア内戦のトラウマ」という新たなテーマが追加されるので、主人公の閉塞感の理由が微妙にズレてしまって、ちょっと感情移入しにくくなってしまったかな。

映像は前半のリベリアの自然の映像、ナトリウムランプでオレンジ色の夜のニューヨークの映像。音楽もほとんどないので、アート映画のような映像は素晴らしいと思う。

もし観ている人がリベリア人だったなら、どう思うだろう?「ホテル・ルワンダ」を観た後のツチ族の方、「ブラックホーク・ダウン」や「キャプテン・フィリップス」を観た後のソマリアの人はどう思うだろう?アフリカを題材にした映画は、ミニシアター系やアート系の映画にするのはとてもむずかしいと思ってしまう映画でした。

[追記]リベリアのゴム農園のドキュメンタリーとして撮影されていた撮影監督の村上涼さんはこの映画のリベリアシーンの撮影後に亡くなられたんですね。「俯瞰」で撮るドキュメンタリーと「主観」で撮る映画ではメッセージの込め方も違うのかな、と思いました。
shino438

shino438