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マンガをはみだした男 赤塚不二夫のwigglingのレビュー・感想・評価

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大好きな冨永昌敬監督による赤塚不二夫の生涯をたどるドキュメンタリー。これまでも大野松雄の『アトムの足音が聞こえる』や、倉地久美夫の『庭にお願い』など、知る人ぞ知るタイプのクリエーターのドキュメンタリーを撮ってきた監督、今度は大ネタできました。
『おそ松さん』と同じく、生誕80周年記念ということで作られた作品みたい。

もう亡くなってるので赤塚本人が写ってるのは過去映像のみ。TV番組やファミリービデオとか、そんなに多くはない。それと大勢の縁者の方々の証言で構成されてます。伝説のトキワ荘時代のエピソードもたくさん入ってて観応えある。
本作ではアニメーションが語り部になって展開するんだけど、そのナレーションが青葉市子なんだよね。このアニメーションパートがすごく良くて、このためだけにでも観る価値ありです。

こういう偉人伝を観たり読んだりするたびに思うのは、優れた表現者だから人生が過酷になるのか、過酷な人生が優れた表現者を作るのかどちらなのか?ということ。
鈴木則文の言葉「芸術は人間のあらゆる思考、あらゆる営為の中で一番素晴らしいものです」の通りで、芸術に比べれば人生なんて瑣末なことなんでしょうね。そして、赤塚にとっての芸術とは「笑ってもらうこと」だった。
そう考えると、前述の問いもまた意味のないことなのでしょう。

自分は赤塚作品にはあまり触れてなくて、バカボンをTVで観てた程度。傑作と言われる「レッツラゴン」の存在も知らなかったけど、俄然読みたくなったな。

U-zhaanと蓮沼執太によるサウンドトラックも素晴らしいので是非どうぞ。
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