ホイットモア大統領

暗黒街のホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

暗黒街(2015年製作の映画)
4.1
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』の予習として鑑賞。

イタリア人監督が、どうしてメキシコ/アメリカを描いた作品の、ドゥニ・ヴィルヌーヴの、後釜監督に選ばれたのか興味があった。
結果はなるほど、本作はまさにイタリアでアップデートされた70年代東映ヤクザ映画。選出も納得の出来とパワーでした!!

物語は、1人の大物政治家の隠蔽を発端に、その政治家と売春婦、裏で手を引く大物マフィアとその手下たち、弟を殺された貧民街のギャングと借金の肩代わりをされた男、が引き起こす抗争を描く。

ここで面白いのが、実際にあったベルルスコーニ元首相の退任日を「黙示録」とし、カウントダウン方式で話が運ぶこと。
まるで本作で描かれる抗争が「お前のせいだ!」と言わんばかりで、こんな社会に誰がした?という国民の怒りが本作のパワーの源か。

また、キャッチコピーの、
「この街は、人間の血と、涙と、性液で、腐敗している」
は、かなり秀逸だと思う。己の私利私欲しか考えず、復讐には復讐を。暴力には暴力を。が蔓延した世界を鋭く切り取っている。だって全員が悪人で、主人公という主人公が存在しないのだから。

序盤、マッスルゴリラ政治家のキメセクがハード過ぎてドン引きだが、内容も首尾一貫してハードボイルドだ!