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ズームイン 暴行団地のhorahukiのレビュー・感想・評価

ズームイン 暴行団地(1980年製作の映画)
3.9
優勝するぞ!!!

ロマンポルノ×和製ジャーロ。団地妻が夫の留守中に元カレと不倫三昧&親友夫妻と3Pして遊んでる裏で、黒衣の殺人鬼が道ゆく女性たちの性器を燃やす…という残忍な連続殺人事件が発生!もしかしてその犯人って元カレなのでは…?と怪しみ始めた主人公が疑惑と欲望の渦に溺れて行くド変態ホラー。

フォローさせていただいてる方に和製ジャーロだと教えていただいので早速鑑賞!ありがとうございます♪確かにこれは完全にジャーロでした👍80年ってことはもしかして日本初のジャーロになるのかな?前作の『ズームアップ』もジャーロ?

今から大会に出る夫(競輪選手)と一発→「優勝するぞ!」と気合入れながら腰振りまくる→次のカットで「行ってきまーす!」と爽やかにチャリ漕いでく後ろ姿を見送る冒頭がもう既にサイコー!🤣何もかも狂いまくった本編の中での夫のゆるキャラ感がすごい!

夫とは全くやる気ない奥様も不倫相手とは絶好調で、短い上映時間ながら物凄い長尺でやってるシーンを映しまくるのが流石のロマンポルノ!そして、どこまでが現実で、どこまでが欲望に塗れた奥様の妄想なのかの判別がつかない混濁した摩訶不思議な世界観が堪んない!

調律に使うハンマーフェルトピッカーというキリみたいな武器で女性を襲い、それで滅多刺しにするのかと思いきや、女性器を燃やすというぶっ飛んだ殺害方法。良くある男性性不能によるコンプレックス表現だけど、性器としての刃物ではなく炎によって「罪」を浄化させるという女性に対する欲望と嫌悪がないまぜになった狂いっぷりがキモくて良い感じ!

滴り落ちるものを確認した直後に振り向くと元カレが突如現れるあたりにも欲望による妄想の具現化としての印象を強くするし、友人が語る「5年前とは別人」の言葉からわかる認識の違いからも彼は少なくとも現実の彼ではないことがわかる。理不尽に元カレを捨てたにも関わらず、狂ったように元カレを求める相反するグチャグチャになった心的葛藤が殺人鬼として現れているように感じた。

グチャグチャな心を調律できないから調律器具をチラつかせつつも殺傷アイテムとしては使わず、女性(自己)に対する欲望の浄化(自己罰)として性器を燃やし、その一方で制御できない欲望に堕ちていく。心的な三つ巴戦を経たあとでも、当然完全に滅することなどできるわけもなく、自己罰としての炎すら最終的には欲望と同化(滴り落ちる炎)し、パイロキネシスで自身と対極のものを発火させるという、映画を通して悪化してるのがサイコーに狂ってて素晴らしい!!これは傑作だと思う!
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