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エル ELLEのmQのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
3.6
何かしらあるんじゃないか…!!と見続けた結果ポカーン顔でエンドロールを迎えるということは、仏映画では当たり前のようにある現象です。笑
結構背後注意な映画だったので隠れて見たい人は気をつけてね♡

ELLE=彼女
実はこの映画主人公はミシェル…に見せかけて登場する女性全てにかけているのかな?と思い至りました。
導入のシーンで正体不明の男に暴力を振るわれ、辛うじて抵抗し切るもその日から自分の中で何かが変化していく。

経営している会社でもたまたま寝た相手との言い合いでもどこかセーブ出来ず家族ですら酷く傷つけてしまいます。
私生活がうまくいかないと思っていた矢先、またも同じ暴漢に犯されそうになり友人や元夫に相談することになりますが、ミシェルは自分自身に起こる変化に少しずつ気付き始めます。

人が持つ「過去」と元々持つ「性質(たち)」について大胆に迫った映画だなぁと思いました。
細胞レベルに焼き付いた自分の性質が過去の行いや出来事を生み、人と自分を繋ぎ今に成っていて、ミシェルは他者から理解を得られないであろう自身の感情面の激しさをあろうことか自分を襲っていた暴漢と共有していたんですよね。

そしてそいつの正体がまたちょっと衝撃…いや、予想はできたんですけど目的や理由はとても現代的で病的。
ゾッとするほどアブノーマルで激情的な逢瀬は、いつしかクセになっていくんですね〜…。

今作はそれぞれに登場する家族の話でもあるんですが、フランス映画ならではのグラデーションでした。
性も年齢も価値観も宗教も関係なく集いコミュニティの中で本当の自分を探り合う。
思ったよりシンプルで、身近に居るもんなんですよね理想も現実も。
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