磔刑

エル ELLEの磔刑のレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
1.5
「変人ババァの交友録」

エンドロールに差し掛かった時点でマジで意味がわからんと思った(☆1点台の作品のエンドロールでの悪い意味での絶望感は半端じゃない)

物語の始まりであり主人公の目的である犯人探しはそれなりに、主人公の周りの変人達との交友録をダラダラと見せられた挙句、一番の変人は主人公でしたという怪奇作品だ。物語がサスペンス調なのでラストに衝撃展開があるのかと一縷の望みを託すも、訳のわからんフワフワした終わり方でカタルシスのカケラもない。主人公の変人具合もリアルにいそうな拗らせメンヘラ女の域を出ないので物語を面白くする程ではないし、只々不快かつ嫌悪感が増すだけだ。

主人公がせめてババァでなければまだ不快感は緩和できたかもしれない。個人的には全盛期のシャーリーズ・セロンが演じていればギリご褒美として許容できたかもしれない。
そもそも個人的にフランス映画が性に合わない(フランスに限らずヨーロッパ全域だが)今作の不快感を覚える主題はハリウッドでもありがちだし、デヴィッド・フィンチャーなんかが撮りそうな題材ではある。しかしこれがフランス映画となると同じ題材でも演出の仕方が全く違う。ハリウッドはどれだけ暗い題材であっても演出(特に心理描写や行動原理、目的意識)がカラッとしているのだがヨーロッパ的演出だとやたらとジメジメしてて兎にも角にも陰湿、陰惨、陰険な印象を受ける。加えて登場人物全の行動原理の描き方もハリウッド的描き方ではないので(そりゃそうなのだが)思考回路がサッパリ理解出来ないので共感を大きく削がれた状態で見る事となる為、余計に主題も不鮮明に感じられ不快感しか私の中では残らなかった。
観客の興味を引くサスペンス劇も消去法で推測すれば犯人はかなり早い段階で予測でき、その犯人探しも二転三転しないので面白味に欠ける。何より期待した犯人の動機が性的倒錯って・・・そりゃレイプ魔なんだから倒錯してて当たり前田のクラッカーでしょとしか言えない。何故主人公を選んだかも不明だし、主人公と犯人を結ぶ為かと思われた主人公の過去の境遇も事件とは無関係で只無駄に風呂敷広げただけにしか見えなかった。

好きなフランス映画はあれど、それを含めてもフランス映画は得意ではない。陰湿な題材も相まってではあるがそれを改めて認識させられる結果となった。良くも悪くも思考、認識共にハリウッドに毒されてるので大人しくハリウッド映画だけ観ようと思いました(小並感)
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