このレビューはネタバレを含みます
アメリカの食糧不足を無くすため、ミランド社が「スーパーピッグ」なる生物を開発。かなり大きく成長し、肉が大量に取れる。しかもおいしい。これを世界各地の農家に10年間育てさせ、最も優秀なスーパーピッグに育てたものを表彰するというコンペを開催。韓国でスーパーピッグのオクジャを育てていたミジャは、このコンペで選ばれたオクジャを取り返そうと奔走する映画です。
本作のテーマは、社会の食肉に対する抗議であることは明白ですが、やはりそれだけでは済まないポン・ジュノ監督。コメディも入れて、ミジャのアクションも見応えありです(特にトラックの上部からトンネルにぶつからぬよう、背面にぶら下がるなど)。そしてオクジャの風貌もCGがすごくて、観ているだけで画面が楽しいです。
オクジャが人間味ありすぎなのは、少し気になりました。例えば、冒頭でミジャが崖から落ちかけているとき、自己犠牲で救出したことなど。機転が利きすぎだし、行動も情緒的。さらに、表情もすごくゆたか。知能や感情が人間にかなり近いです。これが、不自然に見えてしまって、没入しづらかった部分ではあります。
ALFは実在する組織ですが、彼らのキャラクターみんな素敵だし、ジェイク・ギレンホールもいい。ミジャも、「オクジャ!」と叫ぶシーンがすごく可愛らしい。みんな、キャラが立っていて魅力的な役ばかりでした。
監督は、この映画は宮崎駿作品に影響があると公言しており、大量のスーパーピッグの中からオクジャを探すシーンは『千と千尋の神隠し』(2001)の、豚になった両親を探すシーンまんまでしたね。